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大富豪と孤独な子守り [リンダ・グッドナイト]

SHALOCKMEMO1421
大富豪と孤独な子守り Married in a Month 2003」
リンダ・グッドナイト 中野 恵





 原題は「ひと月間結婚して」
 ヒロイン:ケイティ・ウィンズロー(コルトの2歳下)/「ケイティ・エンジェルズ」経営/栗色の長い髪,グレーの瞳,透き通るように白い肌,ふくよかな唇,長いまつげ/
 ヒーロー:コルト・ギャレット(?歳)/「ギャレット・ランチ」牧場経営/ダークブラウンの髪,チョコレート色の瞳,広い肩幅,日に焼けた肌/
 「ボスは最高」シリーズ第2巻の「午後五時の誘惑(SHALOCKMEMO116)」を読んだのが2005年1月のこと。今からもう12年前になるんですね。それ以後めっきり名前を見ることのなかったリンダ・グッドナイトの作品がHQイマージュから邦訳されました。2013年以降年に1冊程度は訳出されており,決して忘れられた作家ではなかったのですが,斜麓駆の方が忘れてしまっていただけです。
 さて,本作ですが,突然玄関に置かれていたベビーカーと一人の赤ん坊。男所帯の牧場で,牧場主のコルト・ギャレットは途方に暮れてしまいます。急遽新聞広告にナニー急募を出したものの,果たして誰か応募するだろうかと気に病んでいたところにやって来たのは,年若く美しい女性。赤ん坊を抱いた途端,ゲップして泣き止んだのをみて,即「採用!」と叫んだコルトでした。エヴァンという仰々しい名の生後三ヶ月の男の子ですが,「ギャレット・ランチ(どうしてギャレット牧場と邦訳しなかったのでしょうか?)」の玄関前に置き去りにしたのはナトーシャ・パーカーという女性でしたが,コルトにはこの女性の名前に心当たりはありません。とにかく弁護士を通じてナターシャを探してもらうことにしましたが,見つかるまでの間,警察に届けて福祉施設送りにするには忍びなく,ナニーを雇うと同時に,牧場の料理人でクッキーという名の元軍人(けっこういいキャラクターです)の手に預けられることになったのです。応募してきたのはケイティ・ウィンズロー。「ケイティズ・エンジェルズ」という保育施設(チャイルド・ケアセンター)を設立しようとしていますが,銀行が融資してくれないため行き詰まっています。プレイボーイという評判のコルトにかつて一度憧れの気持ちを抱いたことのあるケイティとしては,コルトの助けをなんとしても借りたいという気持ちで牧場を訪ねたのでした。「ラトルスネーク(ガラガラヘビ)」という町の名前もちょっとありそうにない名前ですが,いかにも西部らしい小さな町。かつて孤児だったケイティが捨てられた赤ん坊の面倒を見ようと考えたのは,自分の生い立ちと深く関わっていたことは間違いないようです。銀行の条件は融資を受けるには,担保となるものが必要。担保は配偶者の財産も認められるというアドバイスをもらったところにコルトの募集広告が目についたのでした。ナニーを引き受けるには条件があります。「私と結婚して」と直接的にコルトにぶつけるケイティ。男所帯の自由さを愛するコルトにとって「結婚」の2文字は禁句だったのですが,エヴァンが気に入りかかっていた自分としては,たとえ便宜的結婚でも承諾するしか道はないと,しかし愛のない結婚になるが・・・という互いの条件のぶつかり合いで,取りあえず長続きするかどうか一カ月のお試し期間を設けることで,簡単な式を挙げ,ナターシャが見つかるか次のナニーが見つかるまでという限定つきの共同生活が始まるのです。初めからコルトに惹かれているケイティ,そしてケイティの素晴らしく長くすらりとした脚に魅了されてしまったコルトですが,互いに欲望を閉じ込めて,関係を持たないようにギリギリのところで1カ月を過ごすのでした。その間,銀行融資を受けてケアセンターの工事も順調に進みます。そして,ついにエヴァンの実母ナターシャの行方が分かります。思いがけない情報に遂に二人は深い関係を持つことになるのですが・・・。
 頑なにひと月という限定期間を守り離婚手続きのためにドミニカに向かうコルト。牧場を後にするために荷物をまとめているケイティ。最終章のこの場面が,本作最大のカタルシス場面です。予想できる結末ですが,それでも明るく聡明で運命に立ち向かっていくケイティのキャラクターの素晴らしさが光る作品に仕上がっています。


タグ:イマージュ
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