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売られた花嫁 [キャロル・ディヴァイン]

SHALOCKMEMO1451
売られた花嫁 Marriage for Sale
( Bridal Bid 3 ) 2000」
キャロル・ディヴァイン 高円寺みなみ





 原題は邦題と同じ
 ヒロイン:レイチェル・ジョンソン(28歳)/アーミシュやフッター派のようなコミュニティの娘/白に近い淡いブロンド,細い巻き毛,小柄,ハート形の顔,蜂蜜色の肌,青緑色の瞳,丸みをおびた豊かな胸,形のいい腰の線/
 ヒーロー:リンカーン(リンク)・モンロー(?歳)/牧場主/長身,赤銅色の肌,まつげも眉も濃い,真っ直ぐな鼻筋,緑色の冷ややかな瞳/
 モンタナ州。コミュニティの娘レイチェルは,自らの市場の競りにかけます。幼い頃から白っぽいブロンドの髪や青緑色の瞳が周囲のひとびとと外形が異なることからいじめの対象となり,コミュニティでは役に立たないと言われ続けてきたレイチェルですが,逆に動物とは自然に接する能力を身に付けることができ,野生馬の調教には馬を傷つけず,道具も使わずに謂わば対話と癒やしの気持ちで手なずけることができる力を身に付けていました。彼女自身が育てたと言える馬を競り落としたハンサムな男性が彼女自身にも同情心をこらえきれなくなり,身請けするつもりで競り落とします。人間自身が競りにかかることに激しい怒りの気持ちを堪えることができなくなったからです。その後彼女には自由にしていいというと,自分を落札した男性とは結婚しなければならないと言い出すのです。それがコミュニティでの競りの決まりだと・・・。仕方なく形だけの式を挙げ馬と一緒に彼女を車に乗せて牧場に連れ帰ったリンクですが,レイチェルは何の仕事をしたら良い?と早速働こうとします。テレビも知らず伝統的な規律に縛られた生活を送ってきたレイチェルに,まずは一般社会での常識と生き方を教えてあげなければ,自由を勝ち取っても誰かに騙されて帰って不幸になってしまうと気づいたリンクは,牧場の人たちと協力してレイチェルの再教育を始めるのでした。
 アメリカという広大な国の中には,いわゆる伝統的なユダヤの教えを忠実に守るアーミッシュの人たちを初めとして,このような閉ざされたコミュニティで伝統的な生活をしている人々が現にたくさんいることは知られています。あの,ピーター・デッカーとリナ・ラザラスが活躍するフェイ・ケラーマンの長編ミステリー・シリーズもこのような正統派ユダヤ教徒のコミュニティからスタートします。いわば現代社会にタイムスリップしたともいうべき純真無垢なレイチェルがどのようにしてリンクへの愛を貫き,愛を獲得していくかという成長譚として,ストーリー・テリングの妙味と涙なしには読み終えられない感動のイチオシ作品です。
 たった4作品しか発表していない佳作作家と思われるキャロル・ディヴァインですが,7月には「プライドと愛と」がディザイアで再刊されます。また,邦題の「売られた花嫁」は,チェコの作曲家スメタナの歌劇のタイトルを意識した邦題なのでしょうか?



タグ:ディザイア
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