ダイアナの秘密 [ヒストリカル]
SHALOCKMEMO300
「ダイアナの秘密 A Treacherous Proposition 2006」
パトリシア・F・ローエル 井上 碧
「愛と復讐の館(SHALOCKMEMO234)」のヒロイン=レリアもすばらしかったが,本作のヒロイン=ダイアナも魅力的。時代は1814年4月のロンドン。エルバ島に流されたナポレオンがいつ本土に帰ってくるかと噂が流れている。政治的にも,また王の密偵としての仕事をしているロンズデール伯爵ヴィンセント・イングルトンは,親友の妻ダイアナを心配していた。仕事柄あまり信頼できる親友がいなかったもののダイアナの夫ウィン(ウィンモンド)とは心を許せた。しかし,妻ダイアナと子供たちのセリーナ,ビザムの生活を顧みず,生活苦からダイアナが脅迫を受けることになってしまう。ついに夫が殺害されてしまい,ダイアナら一家は路頭に迷ってしまう。
親友だったヴィンセントは一家の面倒を見ることにするが・・・。ダイアナはその頃から恐喝相手のデイモスから時々脅迫状を受け取っていたが,ヴィンセントには言い出せないでいた。
ヴィンセントとダイアナ一家は脅迫者から逃れるように次々と場所を変えて謎の脅迫者との対決まで移動していくが,最後に対決の場所に選んだのは,ヴィンセントの領地イングルウッドだった。そこには,ヴィンセントの幼い頃になくなったはずの兄,ヘンリーや友人のサドベリー,知人のエドマンズ卿など,有象無象の妖しげな人物が次々に登場する。自分たちを追いかけて命を狙うのは誰なのか,誰が味方で誰が敵なのか。サスペンスは後半まで持続する。
しかし,ミステリとロマンスの違いはここにある。ミステリは謎解きが結末になるが,ロマンスは謎解き後に二人がどうなったかが結末になる。その手本のような作品。
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