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エデンの彼方に [キャサリン・コールター]

SHALOCKMEMO388
エデンの彼方に Beyond Eden 1992,2000」
キャサリン・コールター 林 啓恵





キャサリン・コールターの新訳。二見文庫からは2006年2月の「死角」以来久々の訳ではなかろうか。
コールターと言えば,FBIシリーズが二見文庫から訳出されているスリラー作家と思いがちだが,ヒストリカル・ロマンスを含め幅広いジャンルの作家であり,ベテラン作家であることは間違いない。この「エデンの彼方に」も重厚な家族愛とヒロインと出会い,ヒロインを守ることに自分の人生を賭けていくヒーローの11年前からの出会いを縦糸に,16歳からのヒロインの精神的な成長と,レイプという重いテーマに真剣に向き合ったストーリー展開など,アメリカの倫理観を十分に踏まえた作品に仕上がっており1992年という書かれた時期から見てもさらに作者自身の持っているアメリカの良心が息づいた作風になっている。
初めてこれを手にしたときは,コールターとヒストリカルの組み合わせに驚きを感じたが,自身のウェブサイトを見ると,1942年(昭和17年)生まれという年齢には見えないが,戦中派のアメリカの良識を十分に持った方のように思える。


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