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彼が結婚する理由 [エマ・ダーシー]

SHALOCKMEMO939
彼が結婚する理由 The Ramirez Bride
(ラミレス家の花嫁1) 2005」
エマ・ダーシー 秋元由紀子





「ラミレス家の花嫁」リレー3部作の第1作目です。ブラジルの富豪エンリケ・ラミレスの3人の異母兄弟,3人の作家がそれぞれのヒーローを担当し,エンリケの残した遺言にまつわるロマンスを描いたミニ・シリーズです。第1作目は長男となるニック・ラミレスとテッサ・スティールが主人公となります。
ニックは父親だと信じていたブライアン・スティールが実の父親ではなく,実母のリビーの連れ子で実父はエンリケであることを知ります。そして,スティール家の長女テッサ(テス)と心を通わせたのでした。エンリケの遺言は1年以内に愛する人を見つけ,子孫を残すこと,そうしなければ遺産も異母兄弟の行方も名前も明かさないというものでした。遺言執行人の弁護士ジャビエル・エステスからそう告げられたとき,ニックは経済的にはすでに十分なほど持っていたものの,兄弟という家族がいることを知って,なんとかその行方を知りたいと願ったために,限られた時間の中で結婚し,子供を得るためにはテスとの復縁しかないと思ったのでした。テッサの元を訪れたニック。そしてテスから明かされたのはすでに二人の間にザックという生後2カ月の息子がいることでした。妊娠を何故知らせなかったのかと尋ねたニックに対してテスは,ザックを自分の子供として育てるつもりだったと言うのでした。父ブライアンからの財産により,テスはニックから援助してもらわなくても十分息子を育てられること,そして何の約束もしていなかったニックとの関係を妊娠を理由にすがるつもりもないこと,ただ父親であるニックがザックと関係したというのならそれは認めること,過去のニックと父との関係から,知らせるのは時間が必要だと思ったことなどを明かしたのです。ニックの母ナディア・コンドーはかつての貧しい暮らしの経験から少しでも金銭的に有利になる男性との関係を求めることしか頭にない女性でしたし,テスの母リビーは自分が世界の中心であり,自分を褒めてくれる人しか相手にしない女優でしたので,二人とも愛情深い家族を持たないまま過ごしてきたのです。テスは父ブライアンからの愛情をたっぷり受けてはきましたが,ニックは実父のエンリケからも継父のブライアンからも愛情をもって受け入れられた経験がなかったのです。しかも母親からも・・・。ニックは自分の子供であるザックに自分と同じ扱いを受けさせたくない,両親のそろった愛情あふれる家庭で育てたいのだとテスに訴えるのでしたが,自立心の強いテスからは結婚する気はないと言われてしまいます。すでに跡継ぎの子供が存在する以上エンリケの遺言の条件の一部は果たしたことになるので,あとはテスの気持ちを変えさせて結婚にこぎ着けるだけでしたが,テスの複雑な心境や継父ブライアントの関係,そして母の説得などいくつかの山を越えなければなりませんでした。ニックはゆっくりとテスの心を開こうとし,同時にザックとの関係も深めていくのでした。徐々に心を開き,ブライアンとニックの関係もなんとか平穏のうちに取り戻し,ニックが本当に信頼できるのではないかとテスが考え始めたところに,エンリケの遺言執行人のジャビエルが二人の新居を訪ねてきます。すでに二人は二人きりの結婚式を挙げて名実ともに夫婦になっていたのですが,ニックの異母弟たちの存在を知らされ,もう遺言は必要ないと激怒するニックにテスは家族を取り戻すために弟たちに会うべきではないかと進言するのでした。ニックが信頼できる人であり,遺言のために自分との結婚を望んだのではなく,愛にあふれているニックの気持ちを信じての進言でした。エンリケの遺言が過酷なものであったにもかかわらず,遺言どおり愛する人と息子をすでに得たニックは,エンリケの望んでいたことが,生きている間に果たせなかった息子の幸せを願ったのではないかということに気づくのでした。エマ・ダーシーらしい,気持ちの揺れ動きが明確に描かれている良作です。次作はミシェル・リードが描きます。


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