愛を忘れた氷の女王 [アンドレア・ローレンス]
SHALOCKMEMO970
「愛を忘れた氷の女王 What Lies Beneath 2012」
アンドレア・ローレンス 大谷真理子
「汚れなき乙女の献身(SHALOCKMEMO969)」の関連作です。原題は「何が下に隠されているのか?」。2000年に同名の映画が公開されています(ロバート・ゼメキス監督,ハリソン・フォード,ミシェル・ファイファー主演)。飛行機事故で席を替わったために隣の席に座っていた女性と間違えられてしまったファッションデザイナーのエイドリアン・ロックハート。生き残ったのは3人だけで,しかもエイドリアンは事故の結果記憶喪失になってしまいます。亡くなったのはシンシア・デンプシーというセレブ女性で両親も,婚約候補者のウィリアム(ウィル)・テーラーもエイドリアンをすっかりシンシアと思い込んでいますし,自分の記憶を失っているエイドリアンにしてみれば,自分が誰かも分からない状態で,そう言われればそう思うしかありませんでした。しかし何となく違和感があることも確かです。唯一エイドリアンを励ましてくれるのは病院の看護師グウェン・ライトだけでした。「自分の思うようにしてみた方が記憶を取り戻せなかったときに新しい自分として生きられるよ」という言葉に,エイドリアンは新しいシンシアとして生きてみたいと思います。このグウェン・ライトが「汚れなき乙女の献身」のヒロインになります。
どうも我が儘娘でしかも婚約者を裏切るような浮気をしていたらしいシンシア。その浮気相手から電話が入ったり,しつこく連絡してきたりしますが,エイドリアンはウィルを密かに愛し始めていたのできっぱりと相手からの誘いを断ります。そして,シンシアの回復記念パーティに自分のデザインしたカクテルドレスで参加したエイドリアンとウィルは,その夜一夜を共にします。そのとき,ウィルはエイドリアンがシンシアでないことに気づきます。それはシンシアがしていたタトゥが無かったからです。そしてエイドリアンもまた翌日,ドレッサーの奥にあったエイドリアン・ロックハートのタグのついたドレスを見たとき,記憶を取り戻すのでした。そのころウィルは自分の新聞社で事故の記事を確認し,シンシアがエイドリアンであったことを知ったのでした。帰宅してエイドリアンを責めるウィル。エイドリアンもまたそのことをウィルに告げようとしていたのに,ウィルは騙されたと興奮し,エイドリアンに「出て行け」と言い放つのでした。呆然とアパートを出たエイドリアンが頼れるのはグウェンだけでした。全てを失ったしまったエイドリアンはグウェンの助けで実家のウィンスコンシンに帰って行きます。その後エイドリアンはファッションデザイナーとしてチャンスを生かし,チャリティショーでデビューし,かつての事故のことでマスコミに知られたことも味方にして注目を集めるのでした。ショーが刎ねた夜,ウィルが楽屋にやってきます。さぁウィルは再び注目を浴びたエイドリアンを非難しに来たのでしょうか。という具合に終末を迎えるのですが・・・・。
記憶喪失ものですので,中盤までヒロインはシンシアだと思わされていて,周囲から性格が悪く,浮気もしていたと非難の目で見られていますが,事故の後性格も変わったと好意的に受け止められていきます。まぁ謂わば二人のヒロインが一作の中で活躍するような感じです。そして二つの人格の中でそれに対応できなくなってしまうウィルの戸惑い,実は娘は事故で亡くなっていたと知ったときのシンシアの両親の対応など,実際にありそうな状況の中で人々の取る行動や想いがよく描かれている作品だと思います。
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