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裁きは終わりぬ [ルーシー・ゴードン]

SHALOCKMEMO982
裁きは終わりぬ My Only Love, My Only Hate 1986」
ルーシー・ゴードン 石川園枝





父を裁き,ついに獄中死させてしまった弁護士と犯罪者の娘の復讐譚。まさに愛憎入り乱れてすさまじい復讐劇と愛情劇を体現した濃い作品です。建設会社の秘書レイ・ボーナムはタニス・ヘインズという本名ですが,父アンドルーが犯罪者であることを知られないように,母方の姓を名告っていたのでした。そしてにっくき弁護士はジャイルズ・ブレーク。何とか生活を軌道に乗せるために秘書の仕事の他に週に一度エスコートコンパニオンとしてもアルバイトしています。有能な秘書としての服装の時と赤毛のウィッグを付けたコンパニオンとしての仕事の時とはまるで別人のよう。ジャイルズも初めはレイがタニスであることには全く気づきません。ジャイルズが自分のキャリアを引き上げるために父に敢えて不利な証言を引き出し,さらにタニス自身の証言が父の罪状を決定づけるように誘導したそのやり方を許せず,タニスはひたすらジャイルズに復讐することを,そして自分自身が経済学を学んで自活することを目標に何年もの間がんばってきたのでした。
そしてその機会はコンパニオンをしているときに巡ってきます。自分を誘惑させて,その後自分の正体を明かして絶望の淵に追いやることで復讐しようと計画したレイ。そしてレイの正体がタニアであることを知ったジャイルズは,タニアの父アンドルーは犯罪者であり,それを暴いた自分に罪はないと言い張るのでした。あの裁判の時に自分にくってかかった少女が大人の女性として魅力にあふれた姿になって再会したことに,ジャイルズは驚くと同時にずっと気になっていた少女がなんとか自分の生活を維持している状況を目にして,心を痛めると同時にタニスに惹かれてしまう自分にも驚くのでした。レイ(タニス)もまた,あんなに憎んでいたジャイルズが決して幸せな少年時代を送っていたわけではないことを知り,さらには自分に経済的な援助をしてきたことを断り切れなくなったこと,そして敵でありながらそんなジャイルズに自分が惹かれていることに気づき・・・。
ジャイルズとの関係が強まるにしたがって,その周辺でかつての犯罪者の娘と付き合っていると中傷する人たちも現れます。ジャイルズはもうそんなことは気にしないといいますが,自分がジャイルズの長年願ってきた勅撰弁護人への道がたたれてしまうのではと恐れます。そして裁判所に見学に行ったレイは万引き常習者のおばあさんの無実を晴らすために弁論の技術を発揮して無罪を勝ち取る様を見て,尊敬の念を深めるのでした。また別れた妻ベリンダと二人の子供たちとがジャイルズの元に来るとき,レイも子供たちと遊んで楽しい思いをするのでした。
父の敵だった男性があしながおじさんに変化していく二人の関係をとても自然に描いた秀作です。オススメの一作。


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