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スペイン富豪の完璧な妻 [ミシェル・スマート]

SHALOCKMEMO1309
スペイン富豪の完璧な妻 The Perfect Cazorla Wife 2015」
ミシェル・スマート 井上絵里





 原題は「完璧なカソルラの妻」
 ヒロイン:シャーロット(チャーリー)・カソルラ(26歳)/障害者児童デイケアセンターのボランティア/普通の背丈,女らしい曲線美,情熱的で朗らかな笑い声,バニラの香りの肌/
 ヒーロー:ラウル・カソルラ(?歳)/ホテルチェーン・オーナー/青い目,高い頬骨に熱い唇がっしりした顎/
 父との不和から家業を捨ててIT企業を興し成功を収めたラウルでしたが,父が病に倒れ,自分の企業を売って家業のホテル業を継ぎ,経営を立て直しました。しかし,車椅子生活を送る父からは相変わらず自分の成果を無視され続けています。一方,やはり父から捨てられ,母とともに暮らしていたチャーリーはホテルのエンタテイナーをしている時にラウルと出会って目眩く1カ月を過ごし,たちまち富豪との結婚というシンデレラのような出来事に夢中になっていました。ところがスペイン名家のカソルラ家の嫁にふさわしい知性と振る舞いを要求され,息の詰まるような日々を送っていました。ある日夫と激しく口論したチャーリーは勝手にしろという夫の言葉を真に受けてカソルラ家を後にします。そして夫の金でいくつかの事業に取り組みましたがどれも成功せず,今は障害を持ったこどもたちのデイケアセンター,「ポコ・リオ」でスタッフとして働いているのでした。ところがセンターの経営が行き詰まりつつあることを知り,恥を忍んで夫に資金援助を申し込もうと,事務所を訪れたのでした。ラウルからは別居後1000万ユーロが送られてきましたが,チャーリーは自分のためにそれを使わず,父や異母兄たち,シングルマザーだった母のために家を購入するなど,家族のために使うだけでした。今のセンターでの仕事は気取ったカソルラ家での生活とは異なり,自分らしさを取り戻し,子供たちとの交流をすっかり楽しんでいたのです。しかしこのままではセンターの古びた建物は売却されて子供たちも行き場を失ってしまいます。近くに新しいセンターとして格好の物件があるのですが,そこを買い取るだけの資金がありません。2年間も別居生活を送り,一度も自分を訪ねてこない,つまりすっかり愛を失ってしまった夫にもう一度自分に資金を提供して欲しいと頼むのは,やりきれない思いでしたが,もうそれしか方法は残されていませんでした。ラウルは条件つきで資金提供を承諾します。それは新しい物件の改築が住むまでの4カ月間,再度家に戻り,自分と夫婦生活を続けるというものでした。3年間の結婚生活の後ラウルは別居していた2年間チャーリーを忘れることが出来ず,他の女性との関係は一切持っていませんでしたが,いつもマスコミから注目されているラウルが他の女性たちといる姿は何度か報道されています。チャーリーはそれを自分への愛がすでに無くなっているものと思い込んでいます。しかし4カ月だけ仮面夫婦を演じれば無事に離婚し,センターで自分らしい生活を送れることを考えるとこの申し出は断ることの出来ないものでした。そして契約書に書かれた自分名義でない物件の購入の内容に激怒したチャーリー,それをチャーリーの事業能力のなさを指摘され,完成まで自分の監視の下で事業を成功を確実にするのだと冷静に説明され,反論することが出来なくなるのでした。売買契約の完成までの4日間はベッドを共にしないと言い切るチャーリー。どこまでも自分を嫌い,頑なに妻であることを否定しようとするチャーリーを,誘惑することで家を出て行った妻を罰しようとする気持ちも働いて,ラウルはひたすら妻との生活を待ち望むのでした。その後,チャーリーが作った改築計画を超有名建築家が褒めそやしたことや,資金集めのための船上パーティーにチャーリーがしっかりした計画を作っていること,そして何よりチャーリーを迎えに行ったときセンターの子供たちを直に見てその交流を楽しんでいる自分を発見したことなど,ラウルは次第に妻を誤解し,その気持ちを考えてこなかったのではないかと思うようになって行きます。そして決定的だったスペインのトマト祭りにセンターの子供たちを連れて行くのに付き合わされ,楽しい数時間を過ごしたことなどから,これまで自分が如何に高慢で妻の能力を低く見ていたかを知らされます。自分が父からいつも冷たくその能力を疑われてきたことから,父のようにはなるまいと思ってきたラウルが実はチャーリーに対して同じコトヲしていたことに気付き,愕然とするのでした。それからはラウルは妻の計画を全面的にバックアップし,遂に船上パーティを大成功させて得たチャリティ資金100万ユーロを改築の他にも数カ所のセンター開所に向けてチャーリーを助けていくことを提案するのでした。そして,嬉しい知らせをチャーリーから聞かされるのです。エピローグは3年後のカソルラ家を描き,ハッピーで暖かな気持ちに読者を導いてくれます。バルセロナとバレンシアを舞台にしたオススメの1作。


タグ:ロマンス
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