アメジストの瞳 [MIRA文庫]
SHALOCKMEMO396
「アメジストの瞳 Fever 1988」
エリザベス・ローウェル Elizabeth Lowell 上村 楓
アメジスト,紫水晶,石言葉は高貴・誠実。
良心を考古学者に持つ20歳の娘リサ・ヨハンセンは,人類学教授トムソン教授の薦めで,ロッキングM牧場の丘の上にある草原の一区画で新種の植物の観察をすることとなった。
両親と共に世界中の遺跡を旅して回っていたリサは,文明の利器をほとんど使わず,ほぼ自然にあるものだけで自分の生活を営むことが出来る変わった才能の持ち主。
一方,ロッキングM牧場の経営者であるエドワード・ライアン・マコール3世(ライ)は,女性たちが,結局は自分の財産目当てに近寄ってくることに嫌気が差し,女性を信用することが出来ない。しかし,アメジストの瞳と見事なブロンドの長い髪を持つリサを見たときから,そしてリサが全く物欲とは関係のない生活を送っていることに気づいたとき,自分の正体を隠し,ただのカウボーイの男としてリサのもとを訪ねることにした。
「彼女の名は,女。時のない場所に住んでいる」この意味深なフレーズがリサのすべてをあらわしている。そして,ライの主催するパーティーでリサが見,聞いたものは,ライの父親の言葉「あそこにいるのがワシの長男で,ワシに孫をさずけてくれた娘さんには,両手じゃ持ちきれんほどのダイヤをやろう」という言葉だった。女性を物欲と産児マシーンとしてしかみないこの言葉にはさすがに誰でも鼻白んでしまうところだが,ましてやリサの受けたショックは・・・。
ただの男としてのライと愛を確かめた翌朝,リサは夜が明ける前にバッグ一つを持って旅立とうとする。ポプラのような明るい生き方を,そう思ってきたリサが最後に見出したものは・・・。
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