謎めいた伯爵 [アン・ヘリス]
SHALOCKMEMO411
「謎めいた伯爵 Rosalyn and the Scoundrel 2001」
アン・ヘリス Anne Herries 木内重子
ハーレクイン・ヒストリカル300号の記念刊。アン・ヘリスの読者の皆様へのコメント付き。
ロザリンは父の遺した比較的大きな屋敷で,田舎暮らしを楽しんでいた。27歳となり,結婚願望がないわけではないけれど,当時としては適齢期はすっかり過ぎ,男性に頼るだけの生活に甘んじることは考えられない。ある朝,散歩の途中見知らぬ男性に声をかけられ,ひと夏のあいだ隣の館を借りることになった隣人ダミアン。その日の夕食に招待され,つい誘いを受けたもののなぜか不安をぬぐい去れなかった。ハンサムで身なりも立派だけれど,とても危険な香りがするダミアン。(だいたい,名前も少々疑わしい。)
不吉な予感は的中した。翌日,叔母から数年前に起きた殺人事件に,ダミアンが関与していたことを知らされる。しかし,直感に従い,ダミアンは信用できる男性であると見抜いたロザリン。
インドの王族の少年ジャレド。いとこの少女サラ・ジェーン,愛犬シーバとの楽しい日々に割って入ったのが,ロザリンの弟フレディーと愛らしい婚約者のベアトリス,そしてベアトリスの伯母で意地悪なお目付役(本作では完全な敵役)ミセス・ジェンキンズ。しかも,ミセス・ジェンキンズの実の弟を殺したのがダミアンだということが分かり,謎が深まるものの,ロザリンはひたすらダミアンを信じ,愛を深めていく。
当時の良家の人々の押さえたつきあい方や会話を十分踏まえながらも,決闘や財産をかけた賭け事など信じられない無謀な生き方が良く現れた好著。
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