憎しみもなにもかも [ヒストリカル]
SHALOCKMEMO420
「憎しみもなにもかも Lady Sophia's Lover 2002」
リサ・クレイパス Lisa Kleypas 平林 祥
リサ・クレイパスの「ボウ・ストリート3部作の第2巻」。
「悲しいほどときめいて Worth Any Price 2003」「想いあふれて Someone to Watch Over Me 1999」
翻訳本の順からすると,「悲しい・・・」「本書」「想い・・・」となっているが,シリーズのストーリーの流れからすると,「想い」「本書」「悲しい」
となる。
19世紀のロンドンの私設警察ボウ・ストリート。本書のヒーロー,ロス卿は,治安判事で,貴族でありながらボウ・ストリートの頭領。
ヒロインのソフィア・シドニーは,弟の敵と考えるロス卿の補佐官募集に応募し,女性でありながらボウ・ストリート本部で働き始める。
しかし,敵であるはずのロス卿に惹かれていってしまう。
一方,前妻を産褥で亡くしてから4年間禁欲生活を守り,日添えを後添えを貰おうとしないロス卿だったが,ソフィアに会ったとたんに,直感的に惹かれていく。互いに心の奥に他人には話せない重い秘密を抱える二人だけに,本音で語り合えなかった二人だが,少しずつ心を啓くきっかけをもつ。
そんな時,ソフィアに高価な贈り物をする者があった。部下にその出自を捜査させたロス卿は,ロンドンの悪の大物,ニック・ジェントリーにたどりつく。ニックはなぜソフィアにそんな贈り物をしたのか。本書の最大の謎がついに解かれたとき,「悲しい・・・」のヒーロー,ニックの秘密が明かされる。邦訳ではすでに「悲しい・・・」が翻訳されているため,既読者にとってはこの謎は全く謎ではなく,既知の事実であり,このカタルシスは味わえないだろう。
三部作中の最もユニークな登場人物ニック・ジェントリーも,本書で大活躍。
そして,ロス卿とソフィアの大人の恋が描かれる佳作。
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