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王女の運命 [ロビン・ドナルド]

SHALOCKMEMO445
王女の運命 The Prince's Forbidden Virgin 2007 (Royal House of Niroli)」
ロビン・ドナルド 原 淳子





 地中海の架空の島ニローリ王国の王位継承にまつわる独得な家訓,ニローリ・ルールズをめぐる連作ロマンス・シリーズ。
 この作品は,ニローリの王位継承候補第一順位の王子マックスと,マックスのいとこの王女で,ニュージーランドでブドウの罹る病気を研究していたローザとのロマンスを描いた作品。いとこ同士の結婚は,王位継承権を失うというニローリの家訓と,成長した,従姉妹の女性ローザへの思いがつのっていくマックスの胸中の葛藤が徐々に高まっていきます。
 ブドウの罹る病気「露菌病」はべと病とも呼ばれ,「藻菌類のカビの寄生によって生じる、キュウリ・ブドウなどの病害。葉に褐色または灰色のカビが生じて全体に広がり,病葉はべとべとになって枯れる」という病気で,対策として,この病気に罹ったブドウの木を根こそぎ引き抜き,さらに,周囲の木も焼いてしまわないとさらに病気が広がるという恐ろしい病気。この露菌病対策の研究をしていたローザが,ニローリに呼び戻され,マックスとともに対策に乗り出します。ローザは16歳のころ,マックスに夢中になりますが,10歳も年上のマックスに相手にされず,「かわいいおちびさん」としてしか見られなかったことから,ニュージーランドに逃げ出していたのでした。
 作者のロビン・ドナルドはニュージーランドのロマンス作家。本作品では,それほどニュージーランドが舞台になることはありませんが,地中海にあるニローリとニュージーランドでは,気候も風物もかなり異なると思われましたが,ワイン造りという共通点もあるようです。
 さて,ニローリの王位継承者は誰に? というこのシリーズの最大の謎と,登場する男女の素敵なロマンス。王室内の男女のロマンスということで,ハッピーエンドに終わるのかと思いきや,もっとも有力な王位継承者候補のマックスに隠された出生の秘密が明かされるところから,ストーリーは思わぬ展開を見せます。マックスの本当の祖父ジョヴァンニと,現国王妃との昔日のロマンスがマスコミに漏れ,とんでもないスキャンダルが発覚します。それを二人はどう乗り切るのか? また,ニローリのブドウ園を襲う露菌病は果たして収まるのか? そんな複数の問題が読者の興味を持続させ,終末へとなだれ込み,二人のロマンスを彩っていく,極上のワインのようなストーリーです。
 原題の「forbidden virgin (禁じられた処女)」は,もちろんローザ王女を示すのでしょうが,ついに想いを遂げていくローザの心情に愛らしさを感じるのは斜麓駆だけではないでしょう。


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