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この命果てるまで(薔薇と宝冠3) [ヒストリカル]

SHALOCKMEMO470
この命果てるまで(薔薇と宝冠3) Briana 1999」
ルース・ランガン Ruth Langan ryanlangan.com 鈴木たえ子





「オニールの男たちが例によって,私の運命を決定した。」
267ページのこの言葉が,ヒロイン,ブライアナが小さい頃から思い続けてきた,男に生まれたかったことを表す心の叫びでした。
「キーン・オマーラは私が今まで出会った中で,もっともすばらしい高貴な男だわ。」と,父をはじめ,兄たち,その夫人たちを前にして,そしてキーン本人を前にして,堂々とブライアナが述べた言葉です。



アイルランドの女らしい,頑固さ,気の強さ,そしてみごとな赤毛の持主ブライアナは,本書の表紙にあるような,純真な瞳と美しさを,そして原書の表紙にあるような見事な赤毛をなびかせ,剣を手に持つ男勝りの,少年のような体型をした18歳の女の子でもあります。勝ち気で,常に兄たちを追いまわし,周囲の家族をやきもきさせていることに業を煮やした父ギャビンによって,修道院におくられ,沈黙と清貧な生活を余儀なくされた3年間。そこに,母モイラから,父の病を知らされ,バイナリン城に帰郷する途中,イギリス人兵士たちに襲われ,胸に剣を刺されて倒れているところを偶然通りかかったキーンに助けられたブライアナですが,強い生命力で少しずつ傷をいやし,外出もできるようになったころには,キーンの全身全霊をかけた看病に支えられ,感謝の気持ちとともに,キャリック城の使用人たちや村の住民たちに,「お嬢様」と呼ばれるようになる優しさと愛らしさにあふれた女性に育っていました。
そんな,ブライアナによって,密偵の仕事に嫌気がさし,領地経営にも気の入らない生活を送っていたキーンは住民たちの役に立つことが生きる支えになることに気付かされ,感謝の気持ちとともに深い愛情を抱くようになります。小さいころからキーンを支えてきた執事のヴィンソンと家政婦のマロイの後押しもあり,キャリック・ハウスで健康を取り戻しつつあるブライアナとキーンは互いの深い愛情で結ばれていきます。ここでも執事のヴィンソンは,真に主人を敬い,執事の仕事に誇りとプロフェッショナリティをもった存在として描かれています。イギリスのみならず,アイルランドでも,執事の存在はとても大きなものなのですね。
エピローグでは,シリーズの最終話にふさわしい大団円が用意されており,たっぷりとシリーズを締めくくる好著です。


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