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月下に紡ぐ愛 [ヒストリカル]

SHALOCKMEMO476
月下に紡ぐ愛 Highland Heaven 1995」
ルース・ランガン Ruth Langan ryanlangan.com 長沢由美





囚われたレディ」(SHALOCKMEMO464)の関連作です。キャンベル氏族長ディランの双子の弟,サトンとショーは戦士と聖職者という全く正反対のものになろうとしていましたが,双子のもつ特殊な能力,つまり互いの気持ちを離れた場所でも感じ取り,互いの痛みや互いの愛を喜び合う能力を持っていました。
時に,ハイランド地方のキャンベル氏族とラモント一族は,ディランたちの父の世代に仲違いし,キャンベル氏族の財産である馬や羊などが夜盗によって盗まれる被害が頻発し,ハイランドの報復団という一味について調べるために,サトンはラモント一族の領地インヴェレン・ハウスに向かいますが,何者かに襲われ,瀕死の重傷を負ってしまいます。なかなか帰ってこないサトンの身に何かあったことを感じ取ったショーはインヴェレン・ハウスに向かいますが,そこで出会ったのは,瀕死のサトンとラモント一族の二人の娘と下半身不随の弟,そして痴呆のようになってしまったかつての勇者アプトン・ラモントの姿でした。
アプトンの二人の娘,サビーナとメリットも対照的な娘たちでした。姉のサビーナは優雅な物腰と女性らしい優しさにあふれた娘なのに対して,妹のメリットは少年のような格好をし男勝りに剣を振り回す活発な娘でした。二人の弟のイーダンは,インヴェレン・ハウスが襲われた時にけがをし,歩くことができない体になっており,その時の恐怖から,引っ込み思案で悪夢を見てはうなされるようになっていましたが,実は頭のいい勇敢な心をもった少年でした。
サビーナはサトンの看病を自ら引き受け,不眠不休でその命を取り留めようとしているうちに,いつしかサトンを愛するようになります。また,ブラック・キャンベルと名乗る首領のもとに操られる盗賊たちに盗まれてしまった馬や羊を取り戻すために夜な夜な森に出かけていくメリットは,ショーの助けを受けながら,次第に使用人たちの去ってしまったインヴェレン・ハウスが少しずつ居心地のよさを取り戻していき,ショーがイーダンに読み書きを教える家庭教師役を買って出てくれたことで,ショーの優しさとたくましさを愛するようになります。
双子の兄弟と二人の娘,このふた組の男女の組み合わせがインヴェレン・ハウスで深い愛を獲得していく様子は,読者をほのぼのとした気持ちにさせてくれます。また,少年イーダンがショーの助けを借りながら,またのちには回復したサトンの教えを受けながら,次第に少年らしい自身と自立心を取り戻していく様子に,ビルドゥングス・ロマンを感じ取ることができます。
一方でなんども盗賊たちとの闘争で怪我を負ったり,イーダンが誘拐されたりという事件を経ながら,ブラック・キャンベル,ハイランドの報復団の謎が次第に解けていきます。そのサスペンスもこの作品を引きしまった作品に仕上げています。
大団円では,連れ去られたイーダンを取り戻すために激しい戦いを勝ち抜いたショーとメリット,そしてイーダンがインヴェレン・ハウスに帰った時,そこには,エディンバラから帰ったディランらキャンベル氏族の面々が顔をそろえ,サトンとサビーナの結婚が発表されたのでした。妻帯を許されない聖職者になることを決意していたショーとメリットはどうなるのでしょう。ショーは聖職者の道を選ぶのかメリットとの愛を選ぶのか?これは,これから読む読者のために,書かないでおきましょう。


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