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シークの国のシンデレラ [スーザン・マレリー]

SHALOCKMEMO477
シークの国のシンデレラ The Sheik and the Pregnant Bride 2008」
スーザン・マレリー 瑞野はるみ





久方ぶりにコンテンポラリーを手にしました。スーザン・マレリーの作品を読んだのも1年半ぶりになりますので,このブログでは初登場です。
本作はハーレクイン・プレリュードのVOL3「砂漠に降る雪」の続編になりますが,著者の「アラビアン・ロマンス」シリーズの関連シリーズとして,バハニア王国の隣国エルデハリア王国が舞台となっているようです。
エルデハリア王国の王子カーディルの要請で,ロールス・ロイスの修理にやってきたのは,うら若き女性マギー・コリンズでした。父とともに修理工場を経営していたものの,最近父が亡くなり,一人残されたマギーは工場も他人に売却してしまい,経済的にも困っていたところだったのです。幼いころ母を亡くし,遊び場として自動車工場のなかで父にまとわりついて育ったマギーは,普通の女の子と違い,車のことなら興味津々でも,ファッションや宝石などには全く興味がなく,いつもTシャツに繋ぎ姿のため,自分の女性としての魅力には全く気付いていないという長身の女性でした。大切なロールスのクラシックカーの修理を任せるために腕のいい職人をアメリカから呼んだと思っていた王子のもとに妙齢な女性がやってきたので,すぐに帰ってくれと言ったカーディル王子でしたが,マギーの車を愛する真剣な言葉と,王子に阿らないちょっと変わった言動に興味を覚え,修理を任せることにします。
折しも,国王である父から身を固めて後継ぎを残すようにしつこく求められていた王子は,マギーにある提案をします。二人が付き合っているように装い,結婚話が出たら,婚約を破棄してマギーはアメリカに去る。その間のビジネスライクな付き合いに対して高額の報酬を約束する,という契約上の交際はどうかと。初めは王宮のしきたりなど全くわからないマギーはその提案を受け入れるべきか迷いましたが,帰国後の生活のことを考えると,断りきれない提案であることから,OKの返事をします。それからは国のあちこちで二人が親密な様子がマスコミに流れますが,マギーの幼馴染で父を亡くした後一晩だけ関係をもったジョンの子供を妊娠していることがわかって愕然とします。原題の直訳「王子と妊娠した花嫁」が,これで,なるほどとうなずけます。



マギーの相談相手になるのは,別の王子の秘書のアメリカ人ビクトリア・マッカラムですが,「王子と呼ばれる人たちは恋に落ちたりしないのよ。差しだされたものを受けとって,先へ進むだけ。誰かに心をささげる必要なんてないんだもの。」というビクトリアの恋愛観,処世観が,ちょっと悲しく,自分の子供でないことを分かっていながらマギーに結婚を申し込んで断られたカーディル王子が,兄のケイテブ王子に何が不満なのかわからないと相談した時,「愛しているといったか?」と問われて,初めて自分の気持ちに気付くあたりが,男女の恋愛の機微を巧みに表現していて,読後さわやかな感じをもてる作品です。


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