SSブログ

星降る夜に抱かれて [サマンサ・ジェイムズ]

SHALOCKMEMO505
星降る夜に抱かれて The Seduction of an Unknown Lady 2008 (McBride 2)」
サマンサ・ジェイムズ Samantha James samanthajames.com 清水由貴子





設定に惹かれて読み始めました。19世紀前半のロンドン。ヒロインはゴシック小説の作家で,女性作家であることを隠し,F.J.スパロウというペンネームで数冊のベストセラーを生み出す謎の美女。さらに書店も経営しているという自立した女性です。かたや,ヒーローは,マクブライドシリーズの第2弾ということで次男のエイダン・マクブライドが登場します。貴族でありながらインドのパンジャブ地方で勇名を馳せた大佐。インドで部下を47名失うという大失態をしでかし,失意のうちに故郷に帰ってきますが,国では,名将というして勲章をもらうという皮肉な運命からやっと立ち直りかけたところです。
とにかく,ヒロインは謎の小説家として正体を知られないように秘密をもっているほか,母を精神病院に入れて介護しつつ,夜な夜なロンドンの町を一人で徘徊して小説の構想を練るという,変わり種の美女。しかも結婚などはさらさら頭になく,すでに社交界にデビューする適齢期をとっくに過ぎています。しかし,そのたぐいまれな美しさを全く意識しておらず,男性に対してもきつい言い方をしてしまう,当時の女性としてはあり得ない行動力を持つ女性です。読者はまずヒロインのこの立ち居振る舞いと,その謎に引きつけられます。そんなヒロインの経営する書店の向かいに越してきたのは,インドから帰ったばかりのエイダン大佐。イギリスの女性には珍しい独立心旺盛な女性にエイダンは,すぐに惹かれてしまいます。なぜ,こんな美女が夜な夜な一人で歩き回るのか。また,外にも彼女が隠していることがあるような気がしています。実は,ヒロインは夜の徘徊の途中,誰かにつけられているような気配を感じていることや,誰かが彼女の留守中に店の中に入り,本の配置を変えたり,枯れた花を玄関においたりといういたずらをしており,不気味な感じを強く持っていますが,警察に届けるには証拠が足りず,一人で悩んでいるところに現れたヒーローに惹かれるものをかんじます。
さて,二人の心は寄り添っていくのでしょうか,そして,謎のストーカーはいったい誰なのでしょうか,などとミステリアスな展開が最後まで続き,犯人が正体を現したときには,ヒーローが駆けつけ,見事に大団円を迎えるというロマンス小説の王道をいく作品です。
設定の面白さはさておき,二人のロマンス表現は充実しており,アドヴェンチャー,ミステリ,ゴシックロマン,などなどいろいろな要素が見事に融合した佳作です。


nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

悲しみに聖女の祈りを閲覧御礼 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。