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スペインのシンデレラ [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO561
スペインのシンデレラ The Spanish Groom 1999」
リン・グレアム 漆原 麗





元訳は2000年3月刊のハーレクイン・ロマンス(R-1364)。
 バルベルデ銀行の若き頭取セサル・バルベルデは,ハンサムな風貌と富裕なため,女性からはいつも注目されているものの,両親から愛情をそそがれずに育ったため,傲慢で,何事も数字や金で解決しようとするイヤな男。唯一セサルに愛情を注いでくれたのは名付け親のジャスパーだけでした。そのジャスパーが,心臓に持病を持ち,療養していたときに献身的に仕えてくれたのは,何をやっても失敗ばかりするディクシー・ロビンソン。義理の姉の借金を返済するためにできる仕事はいくつもやろうとするディクシーですが,まさしく失敗ばかりで何をやらせても周りに迷惑をかけるばかりで,次々に職を失ってしまいます。ジャスパーの肝いりで銀行の事務員に採用されますが,ここでもコピー一つまともにできない有様です。
 遠くスペインに暮らすジャスパーが心臓の手術をしなければならないという知らせが届いたとき,セサルはジャスパーが最も望むことをしてあげようと思い,結婚して落ち着いた姿を見せようと考えます。どんな女性でもより取り見取りのはずのセサルが相手として選んだのは,ジャスパーの世話をしてくれそうなディクシーでした。ディクシーは自分の容姿や能力に自信がないため,どんな人でも素敵な一面があり,その良い面を見ようとします。セサルに呼び出されて,自分と偽りの婚約をするか,即刻銀行を首になるかという選択を迫られたディクシーですが,傲慢と思えるセサルに腹を立てつつも,セクシーなセサルに惹かれている自分に気付き,とりあえずスペインのジャスパーのもとに一緒に行くことにします。
 純真でセサルに腹を立てつつもセサルに言われることをなんとかこなそうと努力するディクシーのコミカルな発想と一つ一つのディクシーの言動に新鮮さを感じ,知らず知らずの間に愛情を感じ始めるセサルのやり取りに,思わずニヤリニヤリさせられながら,読者は本書にのめり込んでいってしまうのです。
 バイプレーヤーとして,ジャスパーやディクシーの義姉ペトラ,隣人スコット,犬や金魚などまでが絡んできてワイワイガヤガヤ騒動が起きるのですが,それらがすべて二人の愛の完成に向かって突き進んでいくというストーリー展開の素晴らしい一書です。


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