タンゴは踊れない [ミランダ・リー]
SHALOCKMEMO562
「タンゴは踊れない The Playboy in Pursuit
(プレイボーイの誘惑 3) 2000」
ミランダ・リー 吉本ミキ
ミランダ・リーの「オーストラリアのプレイボーイ」(邦訳では「プレイボーイの誘惑」)シリーズの第3作。第1作の「カサノヴァの誘惑」はすでにハーレクイン文庫版になっているが,第2作「恋より情熱的に(The Playboy's Virgin)」はまだ文庫化されていないようだ。版のことから言えば,原作が2000年の出版だが,翌年にはハーレクインイマージュで邦訳が出されている。その後2004年にハーレクインプレゼンツ版が出ており,オレンジがあしらわれた洒落た装丁になっている。今回,文庫版が出ているものの,1・2・3の順には出ずに,1・3が先に出ているのは,なぜ?
さて,ヒロインのルシール・ジョーダンは,外国からやってくるエグゼクティヴのために,シドニーでの宿泊先や家具を始め,生活できるようになるまでいろいろのお世話をするための会社のコンサルタント(邦訳では移転コンサルタントとなっています)を務めています。夫の浮気から離婚に至り,仕事一筋に生きるキャリア・ウーマンで,男性不信にもなっているところですが,友人のミシェルは,タイラーというプレイボーイと結婚したばかり。しきりにルシールにも愛のある結婚を勧めます。そんなところに客として現れたのは,興業プロデューサーのヴァル・シーモア。父親のマックス・シーモア同様,手当たり次第に女性をとっかえひっかえする名うてのプレイボーイとして知られています。そんなヴァルの世話をルシールに任せたのは社の経営者エリカ・パーマーですが,なにやら陰の理由があるようです。
実際に会ってみるとヴァルはすばらしい優しさと思いやりがあり,自分は父親とは違うことを強調しています。一夜限りであれば,とルシールはベッドをともにしますが,次第にヴァルに惹かれていく自分を抑えることはできなくなりました。いずれ去ってしまうヴァルとの関係を楽しめばいいと割り切ろうとしますが,次第に愛していることを認めざるを得なくなります。
ヴァルの仕事場であるステージの練習を見学に行ったルシールは,そこで,衝撃的なシーンを見ることになります。しかも,ヴァルの指導を受けていた美女には,さらに驚くべき事実が隠されていたのでした。後半のこのカタルシスが何ともたまらない気の利いた小品です。
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