奔放な情熱 [シャロン・ケンドリック]
SHALOCKMEMO576
「奔放な情熱 Part-Time Father 1995」
シャロン・ケンドリック 落合 どみ
7月に「情熱の果てに」を読んで以来のシャロン・ケンドリック作品です。
ケンドリック作品では,思いを寄せあう二人がどうもうまいこといかず,互いの気持ちを隠しているところから,如何にして互いの気持ちに正直になるかという視点で描かれているものが多いようですが,本書も同様です。
弟のフィアンセに横恋慕するヒーローがとった手段は,財産狙いだろうと非難して高額の手切れ金を渡し,フィアンセに対して不安を抱えていたヒロインの方もフィアンセの兄に惹かれる思いを正直に言うわけにもいかず,手切れ金を受け取って別れてしまう。しかもその手切れ金は寄付金として福祉団体に全額渡してしまうという思い切った行動をとります。
後に一夜だけの過ちで妊娠したヒロインはひたすらそれを周囲にも隠し,子供を産んだら養子に出してしまおうとするのです。
何か,ぞっとするような設定ですが,ヒーローのハリソンとヒロインのキンバリーの丁々発止の言い合いが作品の第一の魅力になっています。互いにどうしようもないほど惹かれあっていながら「愛している」の一言がなかなか言い出せない二人に,読者はやきもきしながらも,同時に爽快感を感じているという変わった魅力を持った作品。一夜で読むにはちょうど良い内容の作品です。
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