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標的のミシェル [コンテンポラリー]

SHALOCKMEMO605
標的のミシェル Mercy 2001」
ジュリー・ガーウッド  Julie Garwood  juliegarwood.com 部谷真奈実





 引き続き,ジュリー・ガーウッドを読んでいます。原題の"Mercy"には,いろんな意味が込められているようです。直訳して「救援」ですが,「おや,まあ」という驚きの意味もあるかもしれません。特に最後まで読んだ方は,終結部分での意外性を思うと,「あれっ」という感を持つはずですから。



 本作では,ブキャナン家のテオ(セオドア)がヒーローです。冒頭では,事件の中心となり,サスペンス部分,つまりストーリーの裏側を占めているソーイングクラブの4人の面々,そして殺し屋モンク(修道僧)が登場します。この部分だけではヒロインが登場しませんので,ちょっとイライラさせられる部分ですが,ヒロインのミシェル・レナードが登場するとがぜんストーリーが動き出します。ちょっとだけ我慢して冒頭を読み進んでいただけば,すぐにジェット・コースターのようなスリリングな展開が待っていますので,お楽しみに。
 決して男に負けない頑固さをもち,ニューオーリンズの大都市の病院から,片田舎の病院にあえて転勤しようとする外科研修医もミシェルと,父や兄,そして父の店に集まる田舎の人々,少年とその両親など,多くの人々が生き生きと描かれ,しかも一人一人が映画の画面を見るように生き生きと動き回る様子は,作者の確かな筆力を示しています。
 ヒーローのテオと相棒のノア・クレイボーンは,悪口を言い合っているようで息もぴったり本当に信頼し合った素晴らしい友情をはぐくんでいますし,ヒロインもその父もテオやノアをすぐに家族同然に感じていくところが南部の人情の素晴らしさなのかもしれません。



 そして,なかなか明かされないヒーローとヒロインが狙われる理由。読者にはすでにプロローグ的に謎解きがなされていますので,二人がなぜ気付かないのかハラハラさせられながらも自然とストーリーに巻き込まれていく快感は,まさにロマサスのだいご味でしょう。
 単独で読めば,ロマサスというよりはちょっとロマ度のあるミステリともいえるこのシリーズ。ミステリファンにもロマンスファンにも受け入れられる好著だと思います。
 さて,読み終わって終結部分が気になる人も多いはず。幸いなことに次作がすでに翻訳されていますので,続けて読もうと思います。




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