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運命の夜に抱かれて [ヒストリカル]

SHALOCKMEMO630
運命の夜に抱かれて A Wild Yearning 1990」
ペネロペ・ウィリアムソン  Penelope Williamson 木下淳子





1991年度のリタ賞受賞作。
18世紀初頭,アメリカ開拓地に暮らす人々の日常と厳しい自然やその美しさ,先住民族との共存を背景に,3人の男女のロマンスを真摯に描いた傑作。作者ペネロペ・ウィリアムソンは,エリザベス・ランバート,ペン・ウィリアムソンの別名による作品を含め,12作のヒストリカルロマンスを執筆しているうち,本作と次作「Keeper of the Dream」がリタ賞を連続受賞しているカリフォルニア在住の作家です。
ヒロインのデリアは父からの虐待に耐え,酒場で働く女性ですが,耐えきれなくなってきたところに医師タイ・サヴィッチの花嫁募集の知らせに応募し,メイン州の開拓地メリー・ミティングに向かうのでした。当地へ赴任する牧師夫妻の妻で心優しいエリザベスとの友情や,デリアとタイの心の葛藤が前半描かれていきます。タイは白人の医師という顔と,先住民アブナキ族の族長の息子という顔の両面をもっており,自分は本当はどちらの世界に属するのかという悩みを抱えています。
やがてメリー・ミーティングに着いたデリアは,前妻に先立たれた二人の子持ちナットとの結婚を承諾し,幼いティルディや言うことを聞かない長女メグの世話をしながらナットとは寝室を別にするという奇妙な新婚生活を送ります。ナットは前妻メアリーを忘れられず,デリアはタイにひそかに想いをもっていたのでした。
やがてやってくる先住民の侵略。ナットやデリア,エリザベスなどがドリームと呼ばれるアブナキ族の次期指導者に連れ去られ,ナットは頭の皮を剥がれてしまい,デリア達は奴隷としてテント生活を余儀なくされます。後半はアブナキ族の集落に舞台を移し,デリア達を追ってきたタイの戦いと,心の葛藤,そしてタイとデリアのロマンスの進展が綴られます。
厳しい冬を乗り越え,新たに生まれたエリザベスの赤ん坊を加えた一行がメリー・ミティングについてみると,衝撃の事実が待ち構えているのでした。
さまざまな困難に出会いながらも,自分の愛を信じてしっかり生きていくデリアの姿に勇気をもらい,感動を覚える読者も多いことでしょう。まさに表紙絵に描かれている整った顔立ちで意志の強そうな鼻と目をもつ豊かな黒髪の美女がデリアのイメージですね。


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