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契約されたスキャンダル [キャサリン・マン]

SHALOCKMEMO657
契約されたスキャンダル His Thirty-Day Fiancee
恋におちたプリンス 2) 2011」
キャサリン・マン 早川麻百合





 ロマサス作家だとばかり思っていたキャサリン・マンですが,ロマンス作家としてもなかなかの作品・シリーズを残しているようです。本作は「恋に落ちたプリンス」シリーズの第2弾です。
 ゴシップ誌のフォトグラファー(どうして写真家と訳さなかったのでしょうか)ケイト・ハーパーはサン・リナルドの元国王一家のスクープ写真を撮って大金を稼ごうとホテルのベランダ伝いにバルコニーに忍び込みます。大金を得ようとしたのは自分のためというよりもたった一人の妹の療養施設への支払いの必要性に迫られているためでした。発達性障害をもつ妹ジェニファーは20歳になりますが,純粋な心を失わずなかなか人に馴染めないため,専門の施設で世話をしてもらうしか生きる道がありません。自分で稼がなければならないケイトにとって,この職業は自分の趣味と実益を生かせるいわば唯一の道だったのです。
 世間から身を隠して成功しているサン・リナルドのメディナ一族。今夜ケイトがスクープを得ようと忍び込んだのは第二王子デュアルとの部屋でした。デュアルとはこのホテル自体を所有しており相当な事業家としての顔をもっているのですが,ベランダを乗り越えたとたん,ケイトは当のデュアルトにつかまってしまいます。しかも半裸の姿で。一方父の元国王が病を得,早く孫の顔を見たいと思っていることはデュアルトにとっても大きなプレッシャーでした。そこで,一族の写真を撮らせる代わりに自分と元国王の住む離島に行って契約的婚約をするようにケイトに迫るのでした。妹の生活という重荷を負うケイトと跡継ぎの顔を見る可能性を少しでも父親に感じさせたいデュアルトの思惑が二人の契約的婚約を可能なものにしていきます。
  互いのことを少しずつ知るようになって本格的な愛情を感じるようになる二人ですが,はじめに契約的な関係と割り切ろうとする二人がなかなか互いの気持ちを打ち明けることができない窮屈な関係に陥ってしまいます。しかも,デュアルトはケイトの妹ジェニファーをケイトに無断で島に連れてきてしまい,ケイトの逆鱗に触れるなど,ぎくしゃくとした関係も垣間見えてきます。シリーズ第1作でロマンスを成就したデュアルトの弟アントニオとそのフィアンセ,シャノンもからみ二組のカップルが美しい島で繰り広げる華やかなロマンスです。

2015.08.18 再読しました。
マーサズ・ヴィにヤードのリゾートホテルで事業家として成功したデュアルトの,ケイトのジェニファーに対する思いやりが,細やかで適切な物であることは,ジェニファーの反応によってもはっきり分かります。
さらに,ケイトに出版社ごと手に入れてプレゼントしてしまったりと,事業家としての側面も垣間見えます。長男カルロスの謹厳実直な性格,三男アントニオ(トニー)の剽軽な性格,その中間にいるデュアルトが,豪放磊落な性格でありながら,繊細な面をももっているのは,三兄弟の中で作者がデュアルトにもっとも親近感を抱いているからなのかなと思います。
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