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愛する道をみつけて [ヒストリカル]

SHALOCKMEMO666
愛する道をみつけて A Deal With the Devil 2004」
リズ・カーライル 川副 智子





 リズ・カーライルのヒストリカルロマンスを読了しました。リズといえば,ヴィレッジブックスでの翻訳が多かったようですが,ここ2作,二見文庫から翻訳が出ているようです。
 オーブリーは姉の死後その息子のイアンとともにカードウ城の家政婦として元軍人のエライアス・ロリマー少佐の面接を受けに行きます。実はオーブリーの父は少佐の元部下であり,戦争で少佐の命を救うために犠牲になったのでした。戦争後の後遺症で生きる気力を失っていた少佐は,城や領地の経営には全く見向きもせずに,城も荒れ果て放題でしたが,オーブリーはかつて覚えた城や領地の経営にその能力を発揮し,さらに少佐の生きる気力をとりもどそうとにわざと口答えし,健康を気遣うのでした。オーブリーと,少佐の間にはいつしか友情とも呼ぶべき感情が湧いていきます。しかし,少佐はある朝銃で撃たれて殺されてしまうのでした。一方,少佐の甥で本来の領主でもあるウォルラファン伯爵ジャイルズは,今や議会で重要な地位を占め,政治家として押しも押されぬ存在でしたが,家政婦となったオーブリーからカードウ城の窮状を訴えるの手紙には適当な返事を返すだけで本気で取り組もうとはしませんでした。叔父の突然の訃報を受け取ってカードウ城に戻ったジャイルズは,すでに手紙で知っていたオーブリーが,年老いた家政婦ではなく,若く美しい娘であり,ミセス・モントフォードという名前に惑わされていたことに気がつきます。しかも,夫を亡くし一人息子のイアンと職を探してカードウ城にやってきたという話にはなにか秘密があるように思えてならないのでした。少佐と同じく雇われ人でありながら歯に衣を着せぬオーブリーの言い方に最初は腹を立てたジャイルズでしたが,カードウ城の窮状や塔が倒れて叔父がけがをしそうになったところをイアンが助けてくれた話を聞き,次第にオーブリーがカードウ城にはなくてはならない存在であること,多くの秘密を抱えているのにオーブリーが信用できる女性であることを直感し,次第にオーブリーに惹かれていきます。また,イアンが素直で賢い少年であることを見抜き,イアンと遊ぶことにも心の居場所をみつけるのでした。
 不審な死を遂げたロリマー少佐の事件を解決するために治安判事のヒギンズが捜査に当たりますが,なかなか犯人らしき人物が現れてきません。そんなとき,少佐が大切にしていた高価な懐中時計がオーブリーの部屋から見つかり,疑いがかけられていくのですが,ジャイルズは真実を語ろうとしないオーブリーが犯人であるとはどうしても思えないのでした。ジャイルズが事件解決のためロンドンから招いた元警部のマックスと友人のケンブルが到着し,徹底した捜査が行われるのですが,二人が暴いた真実とは・・・。物語の終末近く,タイトルになった“Devil”,そして「道をみつけて」の意味が示されます。。
 ヒストリカルには欠かせない執事や秘書,メイドたちの存在もたっぷりと描かれ,楽しめる作品ですが,なんといっても自分の秘密を抱えながらも毅然として,そして時に愛らしいオーブリーのヒロインぶりが圧倒的な存在感を示す作品です。


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