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悲しみからの旅立ち [ベティ・ニールズ]

SHALOCKMEMO708
悲しみからの旅立ち The Vicar's Daughter 1996」
ベティ・ニールズ 広木夏子





原題は直訳すると「牧師の娘」というシンプルなもの。ベティ・ニールズの作品には珍しく,ヒロインは牧師の娘。ヒーローは世界的に有名な小児外科医ガイス・ファン・ケッセル。オランダ人という設定はいつもどおり。ヒロインのマーゴ・ピアソンは,十人並みの器量で特に何か資格があるわけでもない牧師館の娘だが,二人は救急患者の世話という点で2度あった。マーゴには近くに村人たちに,いずれは二人は結婚するだろうと思われていた青年がいたが,互いに約束していたわけでもなく,両親はマーゴに愛にあふれた結婚をしてほしいと考えていた。ガイスとの出会いは,マーゴにもしかしてという期待を抱かせる。しかし,それを直接ガイスに確かめるような性格ではなかった。ロンドンに来ないかという誘いを受け,叔母の元で1週間の滞在の間,ガイスとの交際が始まる。しかしガイスの口から愛の言葉は聞かれなかった。マーゴの両親が交通事故でいっきに亡くなった時も,ガイスから愛の言葉はなかったが,結婚してくれないかという言葉を聞いたときも,マーゴの心に愛は溢れていたものの,それを直接ガイスに伝えることはできなかった。

十人並みの器量と特に目立った特技のないマーゴは,世界的に有名な医師で年上のガイスが自分を愛してくれているとは考えもしなかった。村での結婚式のあと,オランダの家についたマーゴは唖然とする。ケッセル家は大富豪だったのだ。

ガイスの妹のコリーネに頼まれた浮気相手との別れ話の場をガイスに見られていたとは知りもしないマーゴ。突然冷たくなったガイスの態度に不信は抱いたものの,やはり自分はガイスにとって都合のいい友人程度の存在なのだと,離婚か,婚姻解消かという瀬戸際,コリーネから真実を聞いたガイスは・・・。器量や特技,条件という点を除いてマーゴの生き生きとした機転の利く正確に愛を感じていたガイス。身分違いの相手と思い込んでいたマーゴ。二人のつつましくも相手を尊重し,大切にしようとする愛の姿に,すがすがしい読後感を感じる1作。


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