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マスカレードの告白 [ルーシー・ゴードン]

SHALOCKMEMO759
マスカレードの告白 The Italian's Cinderella Bride 2008」
ルーシー・ゴードン 麦田あかり





ハーレクイン・イマージュ2000号の記念として,本作とベティ・ニールズのデビュー作「赤毛のアデレイド」を合本したもの。
原題は「イタリア人の」となっているが舞台は「ベネチア」です。満ち潮によって警報がなり,人々が粛々とその準備に取りかかるなど,本格的なベネチアの風景と,「マスカレード」というベネチアのお祭りが舞台となり,異国情緒たっぷりに語られる素敵な物語です。
ルースはかつて恋人だったジーノを訪ねてベネチアのバグネリ邸を訪れます。ジーノに逢って記憶を取り戻すためでした。しかしジーノは不在で伯爵のピエトロが,ずぶ濡れで立っているルースを見つけ,屋敷で介抱します。ルースの名前を聞き,ジーノの恋人であることはすぐ分かりました。しかし,ピエトロの悩みはこの時から始まります。ピエトロにとっては自分とは従兄弟のように育ってきたかつての使用人の息子ジーノですが,ジーノは外ではバグネリ家の一員であると詐称していました。ピエトロもその事を知っていましたが,あえてとがめ立てすることなく好きなようにさせていました。ルースはジーノがすっかりバグネリ家の一員であると思い込まされていました。しかし,怪我を負った後病院から突然去ってしまったジーノに,失った記憶を確認しないと次の人生に進めないと考えて,バグネリ邸を訪れたのでした。ピエトロは弱々しくなったルースにすっかり魅了されてしまいます。かいがいしく世話をするピエトロですが,ルースがジーノを未だに愛しているのではないかということと,自分の妻と子供を同時期に亡くしてしまったことへの心の傷から,まだ立ち直っていないことから,ルースへの想いを封じ込めようとしていたのです。やがてマスカレードが始まります。次第にその多言語の能力を発揮してきたルースに対する想いはますます膨らんでいくピエトロ。そんなときジーノが帰って来るという連絡が入ります。失った妻と子供の墓にいくピエトロ。ルースもまたピエトロへの想いが膨らんでいくことに思い悩んでいました。しかしそれはジーノへの想いとは関係なく,ピエトロが負っている心の傷をどのようにして癒やしてあげられるだろうかということからでした。やがて,ルースは勇気をもってピエトロに立ち向かいます。
才能と美貌を持ちながら,そのことに気づきもしない自然体のルースがとても素敵な女性です。伯爵という身分ながら街中の人から好かれる好人物のピエトロ。この二人が出会い,そして想いを寄せ合っていく過程がとても暖かく,癒やされる傑作です。


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