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冷たい瞳のスルタン [シャロン・ケンドリック]

SHALOCKMEMO810
冷たい瞳のスルタン Seduced by the Sultan 2014」
シャロン・ケンドリック 春野ひろこ





 ホテル勤務のケイトリン(キャット)がクルハ国のスルタン,ムラト・アル・マイサンに出逢ったときは,それほどのVIPだとは気づかずに普通のお金持ち程度と思っていました。そして,いつの間にか彼の魅力に嵌まってしまい,気づいたときにはイギリスの愛人として彼のマンションで,彼が来るのを待ち受ける存在になってしまいます。しかし,彼の正体を知ったとき,自分が決して彼の妻にはなれないことを前提にしなければならないことが,これほど苦しくなるとは思いもよりませんでした。そして,ムラトを切実に愛していることに気づいたとき,ケイトリンはもうこれ以上愛人という自分の存在を自分に許すことができなくなっていることに気づいたのです。ムラトの元を去ろうと決意したとき,「この週末だけ一緒にすごそう。そして別れよう」という言葉にすがりついてしまうのでした。スルタンとしてではなく普通の男女のようにデートを楽しみ,マンションで過ごしたあと,ムラトはさらにイタリアでの会議に一緒に行って欲しいと頼むのでした。妹から母の容態が思わしくないという連絡をもらい,申し出を受け入れるか迷っていたケイトリンですが,ずるずると一緒にイタリアに行くことに承諾してしまうのでした。しかし,そこで聞いたムラトの花嫁捜しの話に,ケイトリンは激怒します。自分は決してムラトと将来を共にすることはできないと実感したケイトリン。黙ってムラトの元を去り,イギリス(ウェールズ)の小さなホテルでの職に就きます。近くにいるアルコール依存症の母の様子を見ることが出来るところで。
 ムラトもまた,悩んでいました。自分が愛するのはケイトリンだけなのに,スルタンとしては法に定められている条件の娘としか結婚できないこと,その候補者が今,彼の返事を待っているということに。ムラトはついに,義弟のゲイブ・スティールに相談し,ついに解決法を見つけ出すのでした。最終章では,ムラトがケイトリンとの関係を築くためにどんな努力をしたかが描かれています。自分が努力する姿をケイトリンが果たして認めてくれるかどうかも心配の種になってしまうとは,これまでスルタンになるべく育ってきた自分には全く未知の体験・・・。しかしそれでもケイトリンをあきらめられないムラトの心の成長も描かれる大団円になっています。
 これで,クルハ国のスレイマン,レイラ,ムラトをめぐる三部作も完了です。第1作の「砂漠の掟に背いて」が未読なのですが大胆な女性を描くのに長けたシャロン・ケンドリックの骨太な作品の中でも上位を占めるシリーズになっていると思います。


タグ:ロマンス
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