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珊瑚礁の愛人 [ロビン・ドナルド]

SHALOCKMEMO824
珊瑚礁の愛人 Island of Secrets 2013」
ロビン・ドナルド 柿沼摩耶





南太平洋の島ロチュメア島で化粧品の製造・販売会社を経営しているジョアンナ(ジョー)・フォアマンの元を訪れたのは,巨大企業の経営者ルーク・マカリスターでした。ジョーが世話をしていたトムが亡くなったため,その遺産の整理にきたものだと思いました。トムの家を追い出されるだろうと思い,近くに部屋を借り,いつ追い出されても良いように準備していたところでした。会社の方は,トムからの融資もあり,少しずつ経営の安定化を図りつつありましたが,その借金を返すほどではありませんでした。しかも,島にしかない貴重な原材料で作られた化粧品なので,原材料の持ち主である島の族長たちに,メジャーな化粧品会社から買い取りの打診がきていたのです。島の人々の生活や製造に携わっている雇い人たちの生活が,島外の会社によって危機にさらされてしまうかもしれないという危惧がジョーを不安にさせるのでした。幸いなことに族長たちは島外の会社の打診にはまだ結論を出していません。しかし,メジャーに勝つためにはさらに資金を投入しなければならなくなるかもしれず,トムが亡くなった今,そんな資金を調達する道は考えられません。そんなときにルークがやってきて,ジョーの不安はますます大きくなるのでした。
巨大企業の経営者らしからず,ルークはたくましい姿とカリスマチックな威厳に満ちた男性でした。そんなルークにひとかたならぬ魅力を感じ,その気持ちを表情に表さないように必死に自分に言い聞かせるジョー。しかし,弁護士から聞いた話はジョーの想像をはるかに超える内容でした。ルークと半年間一緒に生活すれば,トムの遺産の半分が自分のものになるという内容だったからです。嫌いだから避けるのではなく,惹かれるから避ける。そんな気持ちを持たざるを得なくなるようなルークの存在。ジョーの葛藤はそれに留まりませんでした。ルークは自分をトムの愛人ではなかったかと疑い,そのことを言葉の端端に挟んでいたからです。
弁護士の提案を受け入れ,ルークとの生活が始まったジョーに対し,ルークもまた,惹かれるものを感じ始めました。トムとの関係を疑ってはいたものの,化粧品開発に賭けるジョーの熱意や,島の人々のためにその会社経営を維持しようとしていることなど,ジョーの人柄を信用し始めたからです。ニュージーランドでのチャリチューパーティーに同伴して欲しいと頼んだのも,化粧品会社の販路拡大のための人脈作りに役立つだろうと考えたからです。島をサイクロンが襲い,被害が出ました。暴風雨の中,出かけていくルークを心配するジョー。その時すでに二人の心は結び合われていたようです。そして,メジャーの条件よりもさらに高額の交渉金が新たな企業から示され,ふたたび族長たちの話し合いが始まります。そして,その企業がどこなのかは謎のままなのでした。島に戻ったジョーがある族長から聞いたトムが残した書類を探し当てたジョーは,さらに驚愕な事実に晒されます。ジョーが実は・・・。しかもその事実がマスコミに知られることになります。その時,ルークがジョーに結婚を申し込むのでした。タイミングとしては最悪!しかし,ルークがジョーに対して言った言葉は便宜的な結婚ではなく,「愛」という言葉はないものの,ジョーを信頼し共に過ごしたいという熱意にあふれたものでした。愛のある結婚,生涯を共にする誓いに基づいた結婚を夢見るジョーと,愛を知らずに育ったために確信を持って愛を告げることの出来ないルークの二人の関係は・・・。
ココナッツの実が落ちてきて命を落としたトムに代表されるように,南国らしさが満載の明るく暖かですてきな物語です。


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