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億万長者と砂漠の姫君 [オリヴィア・ゲイツ]

SHALOCKMEMO828
億万長者と砂漠の姫君 Conveniently His Princess
(愛を拒むプリンス 2) 2013」
オリヴィア・ゲイツ 富永佐知子





「彼のそばにいるとおかしな気分になるのは前からだけれど。今は本当におかしい。頭が働かず,目眩く感覚に襲われている。」という状況になったアラムとカンザ。宝石という意味のカンザの名前が,アラムにとってはまさに意味どおりの女性だった。砂漠の国ゾハイドの王族カンザはニューヨークで宝飾デザイナーとしてアラムの妹と事業を経営しています。数年前にあったときは異母姉との婚約を一方的に破った悪い男としてしか認識していなかったアラムですが,それが全く誤解で,迷惑を被ったのはむしろアラムの方だったことがわかってから,17歳の頃から元々感じていたアラムへの興味ががぜん表に出てきていたのでした。毎日のようにかかってくる電話や食事の申し込みが今ではもう楽しみになっていたのです。しかしアラムは自分にちっとも触れてこようとしないし,二人の関係を深めようという言葉も聞かれません。ただ苦しかった経験を,自分を信じて告白してくれたことにカンザはますます彼に対する想いを深めるのでした。そんなとき母国の父親から緊急連絡が入ります。そして,自分が求婚されていることを知るのです。急いで国に帰ったカンザの部屋の外からアラムが自分を呼ぶ声が聞こえるではありませんか。耳の錯覚?いえ,本当に自分の帰国から数時間も経たないうちにアラムがゾハイドの自分の部屋の外に来ているではありませんか。アラムのいうとおり手すりを乗り越えてアラムの腕の中に飛び降りるカンザ。始めてアラムに触れたカンザはその心地よさに気づきます。
しかし二人の相性を確かめ合った後に結婚話を持ちかけてくるアラムに対してカンザは「いいえ,そんなことはないわ。あなたが私に心を動かされるなんて夢にも思わなかった。だからずっとただの友達のふりをしていたのに。自分を女性としてみてくれているのにも気づかなかった。あなたにとっては色気も何もない女性なんだと思っていたの。」と答えます。異母によって「怪物」呼ばわりされ,奇抜な服装やメイクをしていたカンザが,女性としての自分の魅力に気づいていなかったのでした。しかし信頼を寄せるアラムが自分もカンザに対して同じ気持ちでいることが分かり,二人は愛を告白し合うのでした。二人の結婚式はロイヤル・ウエディングとして,歴史に残るような,というよりまさにアラビアン・ナイトのような様子です。そして事細かに描き尽くされた式の様子と,カンザの周囲の王妃や王女たちの華麗な描写。最後にアラムによって歌われるゾハイドのラブソング「エンタ・オムリ」とその後に続く大演舞会。ところが,幸せの絶頂だったカンザにアラムの妹ヨハラがふと漏らした言葉がカンザに警鐘を奏でます。「これからは,不安と疑念が心につきまとうわ。あなたと見る度に私は二人で分かち合った時間を一つ残らず思い出すわ。でも,何もかも知ってしまった以上,過去がすべて違う風に見えるのよ。私はもう,心のままに夢を見ることも出来ない。すべてが信じられず・・・。」と告げるカンザ。暗い恐怖がアラムを飲み込み息の根を止めようとしています。アラムは本当に都合のいい結婚相手としてカンザを選んだのか・・・。二人の運命は・・・。最終章では思いがけないカンザの行動,そしてアラムの行動が読者を待ち伏せています。
本作がシリーズの中でどんな位置を占めるのか,または番外編なのかわかりません。そのためには「ジュダール」以降のシリーズをすべて読んでいかないと分からないのでしょう。しかし,なんとなく総集編的な要素が垣間見えてくる作品です。


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