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美しき詐欺師 [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO890
美しき詐欺師 A Savage Betrayal 1995」
リン・グレアム 上村悦子





原題直訳では「残酷な裏切り」。ハーレクイン・ロマンス1800号の記念の号で,リン・グレアム自身のメッセージが載せられています。イタリア人実業家のチェザーレ・ファルコーネ。気位が高く,尊大で,ビジネスには容赦しない厳しさを持つ・・・。そんなチェザーレを愛してしまったマイナ・キャロル。大学を出たばかりの彼女を秘書として雇ったのはチェザーレがどうしようもなくマイナに惹かれてしまったからでした。でもその気持ちを素直に言えたのは,物語の本当に最後のところです。そこにいたるまでの,韓国ドラマのドロドロ系に見るような二人の関係,憎しみに満ちていながらもどうしようもない愛に引きずり込まれていく関係は,驚くばかりの展開を見せます。こんなにも痛めつけられるのにどうしてマイナが虚脱感に襲われないでチェザーレの言いなりになってしまうのか,何もかも投げやりになってしまえばチェザーレがマイナへの興味を失ってしまうのでは,それが唯一の解決策なのではと思ってしまいますが,作者は最後にとっておきの解決策を用意しています。そのカタルシスの強烈さが本作の魅力なのでしょう。結局次男息子の育て方を誤った母の責任ですよね。本作はハーレクイン文庫で6月に再刊される予定です。


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