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冷たい伯爵 [ケイト・ヒューイット]

SHALOCKMEMO1091
冷たい伯爵 Count Toussaint's Pregnant Mistress 2009」
ケイト・ヒューイット 仁嶋いずる





様々なヒロインを登場させているケイト・ヒューイット2009年の作品です。今回は天才ピアニスト,アビゲイル(アビー)・サマーズ。音楽家である両親の元で育ち,演奏家としては凡庸であった父のマネージメントの下,少女のころから演奏活動で世界中を巡っているアビーですが,パリでの演奏会の時,聴衆のひとりの男性と演奏中に目が合い,そのまま演奏に集中できなくなってしまいます。演奏後控え室に男性が現れるかと期待していましたが,サインを求めるファン以外は誰もやってこず,何気なく宿泊先のホテルに徒歩で戻る途中,別のホテルのバーにふらりと入ると,なんとそこに件の男性もいるではありませんか。まさに運命の引き合わせ。意気投合しスイートまで同行したアビーですが,リュックという名前以外誰かも分からないうちに男性はアビーを残して立ち去ってしまいます。これまでピアノの演奏以外の人生を考えたことのなかったアビーですが,リュックとの出会いがその後の人生を大きく変えてしまうのでした。その後のコンサートの予定をいくつかキャンセルして演奏活動を停止したアビー。コーンウォールのケータリング業者の下で配達係として新たな人生をスタートさせます。というのもこれまで稼いできた財産を父が全て資産運用に失敗して無くしてしまい,食べていくためにはこれしか方法がなかったからです。そんなアビーが配達した先に,なんとあのリュックがいるではありませんか。報道でコンサートを辞めてしまったアビーのことを知り,移転先を探してやっと見つけ出したところでした。そして数日の間に二人の間には深い関係が芽ばえていきます。しかしリュックは決してアビーを愛しているとも,将来のことも話そうとしません。実は妊娠中の妻を事故で亡くし,その原因が自分にあると思い込んでいるリュックは,もう誰も愛せない,結婚したら相手を傷つけてしまうのが恐ろしいと思い込んでいたのでした。今度はアビーの方がリュックの元を去ります。六週間後,アビーは自分が妊娠していることに気付きます。数ヶ月後新聞の報道で「天才ピアニスト,妊娠か?」の記事でアビーのことをリュックが知り,再びコーンウォールを訪れたリュック。赤ん坊とアビーを守るため,リュックは自分の領地の農場にアビーを連れて行きます。そのとき初めてアビーはリュックが爵位を持つ富豪であることを知るのでした。本名はジェヴォーダン伯爵ジャン=リュック・トゥーサン。原題では「トゥーサン伯爵の」とありますが,苗字と爵位は違っているのが普通でしょうから,間違いではないでしょう。日常を離れ,農場でまるで夫婦のように生活する二人ですが,将来のことを話し合うことはせず,ひたすら休日のように過ごす二人でした。そして近くのシャトー・ミラボーがリュックのかつての家だったことを知り,散歩がてら訪れ,リュックのことを知ろうとするのでした。リュックの心の中に亡き妻スザンヌがまだ住んでいるのだろうか。リュックが愛を取り戻し,再び感情を表せるようになるのだろうか。そんな時,スザンヌの母がシャトーを訪れ,アビーと出会います。そしてスザンヌが亡くなったときのことを詳しく教えてくれたのでした。ところが,その時アビーは急に腹痛を訴え・・・。
ベートーベンのピアノソナタ23番f-moll「熱情」op57がストーリー全体の雰囲気を作り上げ,暗い出だしから最後は輝く天上への昇華を歌い上げる名作です。オススメの1作。


タグ:ロマンス
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