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冷酷なフィアンセ [ダイアナ・ハミルトン]

SHALOCKMEMO1095
冷酷なフィアンセ Virgin : Wedded at the Italian's Convenience
Innocent Mistress, Virgin Bride 7) 2008」
ダイアナ・ハミルトン 白槻小枝





エンディングがとても小気味がいい作品です。150センチほどの小柄でほっそりした女性リリー・フロームは母を亡くし父からも捨てられ,元教師の大叔母のエディスに引き取られ,慈善団体を運営しています。村のお年寄りや困った人を助けるためにボランティアの人たちに手伝ってもらいながら何とか生活してきました。最近になって村の大きな屋敷が売りに出されたという情報を得て,バザーのために家具などを引き取りたいと申し出るために屋敷を訪れると,先日弁護士事務所から出てきた大柄でハンサムな男性が新しい持ち主パオロ・ベニーニであることが分かります。尊大で自分を物乞いのように扱う態度に腹を立て,リリーは用件だけを済ませて帰ってきたのでした。ところが知り合った秘書のペニーと話しているところにパオロがやってきて,慈善団体を支援する代わりにやって欲しいことがあると申し出たのです。それはなんと,病気のパオロの母を励ますためにリリーと便宜的な婚約をしたという申し出だったのです。普通の女性として豊かな暮らしではなくとも正しく生きてきたリリーからしてみれば,いくらなんでも結婚,婚約という人生の重大事を嘘でスタートさせることなど考えも及ばないことでした。しかし2週間パオロとイタリアで過ごすだけで,5000ポンドという大金をポンと寄越すほどの富豪であり,これがあれば団体運営も軌道に乗るだろうという見通しと,大叔母のエディスももう若くないことを考えると楽をさせてあげたいという気持ちにどうしても勝てずにこの申し出を受けることにします。というより,次々とリリーの行動を予測して先々と手を打つパオロの手腕に振り回され,引きずられるように従ったと行ってほうがいい状況でした。しかもそれがそんなに嫌じゃなく,パオロにどうしようもなく惹かれていく自分自身にリリーは怖れを抱いたのです。モデル体型のブロンド美女と浮き名を流しても不思議でない人もうらやむ美貌と財力をもつパオロのような人が自分のような見栄えのしない女性を好きになるはずがなく,しかも今回の申し出はあくまで便宜的なものであることをはっきりと宣言されていたからです。これまでの人生でパオロはすでに1度の婚約失敗と1度の離婚を経験しており,愛のある結婚ということを期待してはいないからでした。パオロの母にはとても大切にされ,話がどんどん進んでしまいます。婚約披露パーティにまで発展し,戸惑うリリー。しかもパオロの目に自分を求める気持ちが表れ,ついには自分もパオロを愛していることに気付くリリーでした。しかし本物の愛のある結婚は望めないという現実との狭間で気持ちが揺れ動くリリー。そのうち結婚の準備まで始まってしまい,慈善団体はパオロの準備したプロの経営者が引き継いで運営をしてから好調な様子。さらにパオロを求めたい気持ちも強まっていくリリー。ついに結婚式まで挙げて本物の結婚にしたとパオロに告白されてしまってはもう逃げ道はありません。ところが披露パーティに集まったベニーニ家の人々は,結構自堕落であまりいい印象は受けません。特にパオロの従妹のレナータに前妻と自分を比べられて,結婚生活がいつまで続くかと嫌みを言われて動揺するリリーでした。ベッドを共にしたくないとパオロに宣言したリリーですが,次第に元気をなくして悩む生活に陥ってしまいます。できるだけ顔を合わせないように過ごす仮面夫婦になってしまった二人に決定的な出来事が・・・。シンプルな筋立てだけにとても小気味がよく,すっきりした読後感が味わえる,2009年に亡くなったダイアナ・ハミルトン晩年の作品です。


タグ:ロマンス
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