SSブログ

隠された愛の証 [レイチェル・ベイリー]

SHALOCKMEMO1128
隠された愛の証 The Blackmailed Bride's Secret Child 2010」
レイチェル・ベイリー すなみ 翔





 奪われるように異母兄に連れ去られてしまった元恋人のもとを訪れたニコ・ジョーダン。自分を捨てたその恋人を恨みながら5年の時が過ぎました。異母兄ケント・ジョーダンが亡くなり,未亡人となったベス・ジョーダン(旧姓ジャクソン)は4歳になる息子のマーク(マルコ)と二人暮らしですが,マークにジョーダン家の遺産が相続されることになり,その書類へのサインをベスに求めるためにニュージーランドにやってきたのです。オーストラリアでブドウ栽培とワイン製造を営むジョーダン家の長男ケントは後妻との子供ニコを毛嫌いし,ことごとく辛く当たってきました。二人の父親ティム・ジョーダンも5年前,体調を崩し,さらにニコの母の死という出来事の中でケントはニコの恋人ベスを連れて家を出奔し,ニュージーランドのぶどう園に移り住み,ベストの結婚生活を送っていたのでした。愛憎の交錯するこの物語は,ちょっとドロドロ系かと思いましたが,実はベスの息子マークはニコの子供であり,そのことをベスもケントもニコやティムには気付かれないよう秘密にしてきたのでした。というのもニコには出生の秘密があり,そのことをニコやティムに知られるとニコは事業の相続権を失い,ジョーダン家の人間ではないことが分かってしまうからです。ケントにそのことをネタに脅かされたベスは,この秘密と苦しみを抱えたまま愛のない結婚生活を5年にもわたって送ってきたのです。しかも息子のマークがニコにそっくりなことに気付かれてしまうと,せっかく秘密にしていたニコの出生の秘密も知られてしまう可能性があり,それはなんとしても避けたいことでした。それがベスのニコを愛するやり方だったのです。ティムが亡くなれば,そのことも含めニコには本当のことを知らせることができる。それまでなんとか・・・。そんな計画や思惑も,ケントの死,そしてニコ本人の突然の訪問によりすっかり狂ってしまいます。家のドアを開けた瞬間ニコに対する愛情があふれてしまうベス。きっと自分を憎んで仕返しをしようとするだろうニコにとにかく冷静に対応しなければという想いと,それを裏切るようにニコに惹かれてしまう自分にベスの苦しみはますます高まっていきます。
 初めは自分を捨てて異母兄と出奔してしまったベスに自分にした仕打ちを後悔させ,愛する父の孫のマークとの出会いを求めてきたニコですが,ベスと出会った瞬間,気持ちを揺らぎを止めることができなくなります。そしてそれに応えてくれるベスの反応にも・・・。二人の極限での気持ちのぶつかり合いが続いていきます。これが本作の中心部分ですが,偶然ベスの両親と一端家に戻ってきたマークを見た瞬間,真相に気付くニコ,そしてベスへのプロポーズ,それを断るベス,という具合に5年前のことが次々と物語られていきます。ケントとは異なり家族や愛情を大切にするニコをよく知るベスがもっとも恐れていたのがこのことでした。それでもニコの出生の秘密だけはなんとか知られずにいたい。そんなベスの気持ちも,ニコがケントの事務所で,かつてベスがケントから脅されていたニコの秘密を記した手紙を発見するに及び,物語は急速に進展していきます。ティムもすでにことのことを知っていたのです。知っていながら遺言を書き換えるつもりはないと電話でニコに話すティム。その確証を得てから再びニコはベスの元を訪れます。5年間も自分にこのことを告げずにいたベスへの恨みを抱えたままで・・・。二人の関係はどうなるのでしょうか・・・。ヒーロー,ヒロインの心を動きを中心にロマンスを語るレイチェル・ベイリーの真骨頂とも言える巧みな心理描写を生かした本作。一気読み間違いなしの傑作です。


タグ:ディザイア
nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。