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小さな天使と秘めた恋 [ポーラ・ロウ]

SHALOCKMEMO1258
小さな天使と秘めた恋 The Billionaire Baby Bombshell
( Billionaires and Babies 10 ) 2010」
ポーラ・ロウ 中野 恵





 原題は「億万長者の赤ちゃん爆弾」
 主な舞台:オーストラリア内陸のリゾート地ダイヤモンド・ベイ
 ヒロイン:エレナ・ヴァレロ(?歳)/「ベネット&ハーパー」PRコンサルタント,スペイン大使の長女/気絶するほどセクシーな豊かな体の曲線とワイルドな髪,官能的すぎる唇/
 ヒーロー:アレクサンダー(アレックス)・ラッシュ(?歳)/大手航空会社「ラッシュ・エアラインズ」経営者,「スプリント・トラベル」共同経営者/青い瞳/
 「おまえはヴァレロ家の人間だ。お前は利潤を追求するような仕事にかかわるべきじゃない。周囲の人たちの気持ちを,特に父さんの気持ちを考えてみろ」と兄カルロスに言われるように,スペイン貴族の名家ヴァレロ家の長女エレナ。妹ガブリエラが跳ねっ返りで次々に問題を起こし,長男カルロスも気位ばかり高く自分の名誉ばかり考える男であるにもかかわらず二人とも家族だからと,トラブル処理ばかりしてきたしっかり者のエレナ。2年前のある一夜,父を失ったばかりの兄の会社の共同経営者で親友のアレックスの失意を慰めようと一度だけ許したキス。しかし正気に戻ったエレナはアレックスを振り切って帰るのですが,その後妹のガブリエラとアレックスは関係を持ってしまいます。その一粒種がベラという愛らしい女の子に生まれ,その後ガブリエラは亡くなってしまいます。エレナはベラを自分の娘として出生届を出し,自活して生活してきました。ところが今回アレックスはエレナの会社に仕事を依頼し,しかもエレナを担当として指命してきたのです。ベラの秘密を明かさないと妹に約束したエレナですが,アレックスと仕事上とは言え一緒に過ごす時間が増えれば,ベラの秘密をかぎつけられてしまうかもしれません。しかも仕事の内容は父の死が事故か他殺かという微妙な問題でアレックスが罪をかぶり,しかも今回生前の父の不倫疑惑まで登場したことから,会社や家族の信頼回復のためのキャンペーンを立ち上げて欲しいというものでした。エレナにとっては会社での昇進のかかった大きな仕事。これを断ればしばらくは昇進の機会は望めなくなるかもしれません。次第に手がかかるようになってくる生後五ヶ月の赤ん坊をもつみとしては昇進して勤務時間に余裕が出来ればベラと過ごす時間も増えてくるはず。そう考えると仕事を断る選択肢は選べませんでした。そしてキャンベラから遠く離れた内陸,エアーズロックを望むダイヤモンド・ベイというリゾート地での仕事に堂々とベラを連れていくエレナ。シングルマザーであることでこそこそ生きるのではなく,堂々と自分の生き方を貫くエレナの潔さに,やはり貴族の血は争えないのだなとひたすら感心するばかりです。さて,仕事はアレックスの母,パメラやティーンエイジャーの妹チェルシーも含めたラッシュ家全体にかかわらざるを得ないのです。しかし母も妹も次第にエレナに打ち解け大切にしてくれるのです。2週間後に盛大なパーディを開き,悪い評判を取り戻そうと計画するエレナ。母も妹その話に乗ってくれますがアレックスの乗り気は今一つ。しかしマスコミに顔を出すことで母や妹をもっと傷つけてしまうのではないかというアレックス流の心遣いからでした。なんとか説得して開催を了承させたエレナ。問題は数年前と同じようにアレックスに対する気持ちが止められなくなってしまいそうになることでした。亡き妹の恋人であったアレックスにそんな気持ちを抱くことは許されないことでした。しかし,アレックスもまたエレナを欲しいと言ってくれます。打ち合わせのための夕食をと称して,オートバイで二人で出かけたアウトバックでの食事のあと,周囲には暗闇しかない状況で二人は遂に目眩く時を送ります。そしていよいよ盛大なパーティの日。アレックスは会社の金を使い込んでいたカルロスも招待していました。冒頭の言葉はその時カルロスがエレナに言った言葉です。そして兄を非難してしまったことを悔やんでしばらく辺りを散策し会場に戻ろうとしたところで兄とアレックスの会話を聞いてしまうのでした。完全にアレックスを裏切ってマスコミにもあらぬ情報を流していたカルロス。しかも父の呼びつけにあって自分とガブリエラに対する非難に便乗してカルロスは自分を許してくれるようアレックスに頼んでくれと自分に都合のいいことをエレナに頼むのでした。これまでは家族のためを思い苦情処理係のようなことをしてきたエレナですが,さすがにこれには承服できず,両親にも断絶宣言をするのでした。そして戻る先は・・・。
 いつも偉い人としてしか扱われない父フアン・ヴァレロ,長男風を吹かすカルロス,父と同意見の母,3人とも世間体ばかりを考えて,それをエレナやガブリエラに押しつけようとしてきたのに対し,自分の才覚で自立し,しかも妹の産んだ子を育てているエレナの高潔さ,筋の通った生き方としゃきっとした美しさにすっかり魅せられてしまう作品です。


タグ:ディザイア
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記憶なき富豪への贈り物 [ポーラ・ロウ]

SHALOCKMEMO1232
記憶なき富豪への贈り物 Forgotten Marriage 2007」
ポーラ・ロウ 秋庭葉瑠





 原題は「忘れられた結婚」
 ヒロイン:アレクサンドラ(アリー)・マックナイト(29歳)/フリーライター/豊かな栗色の髪,可愛らしい顔立ち,160センチの小柄な体/
 ヒーロー:フィン・ジェイコブ・ソレンセン(?歳)/「ソレンセン・シルバー社」副社長/デンマーク人,高い頬骨,角張った顎,長いまつげに鮮やかなエメラルドグリーンの瞳/
 「結婚していた。僕には妻がいた。どうやらその女性はオーストラリアに住んでいるらしい。ああ,なんて厄介なんだ。」で始まる本作は,ヒーロー側の記憶喪失の物語です。「その謎の妻もまた,父ニコライが統べるジュエリー帝国(ソレンセン・シルバー社)の支配株を10パーセント相続することになる。」記憶喪失ものの要素として,遺産相続が絡んできます。しかもヒーローの継母マレーネの身勝手さが敵役的要素をふんだんに醸し出します。「12月に起きた交通事故で父が集中治療室に入り,彼自身も記憶の大部分を失ってから,フィンの人生において現実離れした事実が次々と発覚した。」とあり,会社経営と結婚生活の記憶を取り戻すためにフィンの行動が説明されていくのですが,本作では記憶喪失期間は二ヶ月と三週間と五日と比較的短い期間です。さらに,ヒロイン,アリーの妊娠。夫の出奔の後に発覚した妊娠。記憶喪失と妊娠という2つの現実の間で奮闘するヒロイン,アリーがちょっと身勝手な感じがするのですが,そこはオーストラリア人のおおらかさが救ってくれています。それでも,名家の出身のフィンに対して,無責任な飲んだくれの母をもつ自分に対して相手にふさわしくないのではないかと考えてしまうヒロインのアリーは,記憶を失っているフィンとの関係修復の絶好の機会ではないかと考えます。もしそれがうまくいかなかったら離婚届にサインしよう。でも子供は産みたい。もし離婚したら二人の関係は子供を挟んでどうしていったら良いだろう。そんな不安な気持ちを隠したままアリーは記憶喪失後のフィンが,かつての傲慢な人から別人のように変化したことを感じていました。そんな二人に復縁はあるのでしょうか。やがて妊娠を知ってしまったフィンはどう行動しようとするのでしょうか。「過去は変えられないとしても,未来を正しいものにすることは出来るだろう。それは彼女の真実を打ち明けることを意味する。」記憶を取り戻したフィンは,一大決心をするのでした。もつれた糸を見事に解きほぐしていく作者の腕前は見事です。記憶喪失ものの醍醐味を味わえる秀作です。そして,シルエット・ディザイア版の表紙に描かれたヒーローとヒロインの姿。フィンの北欧人らしい長身と,顔がフィンの胸までしかない小柄なアリーの姿が印象的です。


タグ:ディザイア
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