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CEOと一夜の天使 [テレサ・カーペンター]

SHALOCKMEMO1426
CEOと一夜の天使 The CEO's Surprise Family 2016」
テレサ・カーペンター 長田乃莉子





 原題は「CEOの驚きの家族」
 ヒロイン:アレクサ(レクシー)・マローン(27歳)/美容師,元カジノ・ダンサー,音楽博士/肩までの長さの赤褐色の髪,ブルーの瞳/
 ヒーロー:ジェスロ・コールダー(35歳)/「ピナクル・グループ」経営幹部(財務担当)/髪は殆ど漆黒,手首にトンボに似た形の痣,藍色の瞳/
 「せつない献身(SHALOCKMEMO1351)」の関連作で「ピナクル」社の4人の孤児たち,クレイ,ライアン,ジャクソン,ジェスロの物語の第2弾で,ジェスロ・コールダーがヒーローです。ヒロインはアレクサ(レクシー)・マローン。優れたダンサーであり,親友の娘を育てるために現在は美容師をしています。そしてダンサーになる前は音楽家でもあったというマルチタレントな女性です。
 ジェスロはかつて一度だけ受賞パーティで酒を飲み過ぎてしまい「エスカレーション」という人材派遣会社(エスコート・サービス)から派遣された女性アリーヤと一夜を共にしてしまいます。アリーヤは一粒種ジャスミン(ジャジ)を出産後,1年後に交通事故で命を失ってしまいます。レクシーはジャジを引き取りますが親類でも何でもないレクシーがジャジの親権をとることは困難で,福祉局により里親に預けられてしまいます。ジャジを取り戻す方法はジャジの実の父親を探し出し,レクシーが育てることを認めてもらうしか方法がありません。ジェスロを訪ねたレクシーは,正直にジャジのことを打ち明け,自分がジャジを養子にして育てたいからと申し出るのですが・・・。
 「彼女には僕の心をとらえる明るさがあった。気取らない物言いは荒んだ僕の心を引きつけた。実際自分にあんな口のきき方をするものは誰もいない。頭が固い?従業員がそんなことを言おうものなら即刻首にするところだ。だがレクシーが口にすると,そのとおりかもしれないとつい思ってしまう。彼女の人となりはすでに危険なほどジェスロの心をとらえつつあった。」かつて孤児だったことであまり人付き合いの得意ではないジェスロにとってレクシーの存在はこれまで感じたことのないやすらぎと興奮をもたらすものでした。そして自分の娘?結婚の意思もなかったジェスロの前に突然現れたこの小さな存在が,レクシーとともにジェスロの心をとらえたのでした。レクシーは自分の生い立ちについてジェスロに語ります。「わたしは音楽の分野ではまさに神童だったの」15歳で大学を卒業し,16歳でバイオリニストとしてミシガン交響楽団と共演。その後音楽に燃え尽きてダンスを習い始め18歳でダンサーとしてニューヨークで勉強を始めますが,そこでアーリアに出会います。22歳で博士号を取得しますが,その後,二人でショービジネスのメッカ,ラスヴェガスにやって来たのでした。ジェスロは娘の存在を確認すると孤児仲間で警備担当のクレイに相談し,レクシーがジャジをきちんと育てられるか判断するために3カ月の3人の同居を決めるのでした。奇妙な同居生活が始まりますが,互いを意識し始める二人にはすでにこの時愛が芽ばえていたのでしょう。孤児として生まれたジェスロ。何でも命令する両親からの逃避を続けてきたレクシー。二人の生い立ちが互いの心を思いやることに繋がっていきます。ときにはジャジにあげるプレゼントに二人が同じものを選んでしまい,レジで片方を返すという一幕も有り,微笑ましい二人の関係が垣間見えます。孤児たちを大切に育ててくれた亡きママ・ハーマンを彷彿とさせるレクシーのジャジへの愛情の注ぎ方に,ジェスロは三カ月を待たずしてレクシーにジャジを預けることを認めていたのですが,同時にレクシーもまた自分の人生にかかわって欲しいと願うようになります。前作の主人公ジャクソンとグレースの壮麗な三階建ての邸宅でのパーティに,レクシーはジャジを連れてでかけました。出張中のジェスロは帰宅後やってくる予定です。レクシーはジェスロがジャジをこの親友たちに見せたがらないことに違和感を感じ,クレイの誘いのままにやってきたのですが,ジェスロがやってくる前に帰宅しようと思っていました。しかし予想外に早くジェスロがやってきてしまい・・・。責め立てるジェスロにレクシーは「私はあなたを愛してしまった。あなたとわたしとジャジで家族になれるかもって」。しかしジェスロからは冷たい言葉しか返ってきませんでした。落胆したレクシーはラスヴェガスを離れる決意をします。さて,二人の恋のゆくえは・・・。
 圧倒的な性格の良さと美しさと才能を兼ね備えたレクシーが本編の中心です。レクシーに振り回されるジェスロもなにかかわいく感じてしまいますが,読後感のとても爽やかでつい笑顔になってしまう傑作です。


タグ:イマージュ
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せつない献身 [テレサ・カーペンター]

SHALOCKMEMO1351
せつない献身 His Unforgettable Fiancee 2015」
テレサ・カーペンター 秋庭葉瑠





 原題は「彼の忘れられない婚約者」
 ヒロイン:グレース・ディレイニー(30歳)/カリフォルニア州ウッドパークの元保安官,元海軍士官/身長170センチ強,柔らかな曲線を描くほっそりした体,長く美しい脚,8歳の時母が亡くなる,1年半前父を失う/
 ヒーロー:記憶喪失の男JDことジェイソン・ホーク(34歳?)/「ピナクル・エンタープライズ」オーナー,ゲーム開発,ホテルチェーン,コミック出版,テレビ・ラジオ局。アメフトチーム等/身長190センチ弱,5歳で母を亡くし,里子に出され転々としたのち寄宿学校で成長,父とは連絡を取っていない,カリフォルニア大学バークレー校卒,22歳で成功し,27歳で10億ドルの収益を挙げる/
 カルティエの高級時計のみを身に付け,財布をはじめ身分を証明するものを持たずに保安官事務所に身一つで保護された男性,アメリカでは身元不明男性をJDと略称するようです。ミスター・スミスというのもあったような。女性の場合は何でしたっけ?アニーでしたっけ?JDは警察用語でしょうか。ともあれ,ストーリーの前半はこのJDが記憶障害とともに自分の身元を思い出そうとするとひどい頭痛に陥る男性と,父の跡を継いで町の保安官を務めていたグレースとが,身元を確かめるために珍道中をしながら,ちょっとした軽い身体の触れあいに戸惑いながらサンフランシスコまで行くことを中心に描かれています。身元不審なJDをグレースは何かの犯罪に巻き込まれたため記憶を失ったと直感で感じ,決して悪人ではなく,カルティエの腕時計を持っていたことから裕福であろうと想像して元の生活に戻そうと努力します。そしてなにより体調を気遣ううちに,さらにちょっとした身体のふれあいで電流が走ってしまうことに戸惑いながら,次第に惹かれていく様子が描かれるのです。サンフランシスコでFBIの友人にJDの身元の確認を依頼すると,やはり予想どおり彼は有名人でした。コンピュータ用ゲームソフトを開発して大金持ちとなり,さらにホテルチェーンや出版社などエンターテインメントの複合企業を統括するジェイソン・ホークがその正体でした。マスコミには彼のプライベートはあまり知られていませんでした。いわゆるオタクでるジェイソンは雑誌の記事にも長髪でひげを伸ばした状態の写真ぐらいしか公開されていなかったためひげを剃った状態のジェイソンにウッドパークの町の人たちは誰も気付かなかったのでした。自分の住まいにしているサンフランシスコのホテルではもちろんフロントをはじめジェイソンの顔をすぐに見分け,無事に送り届けたグレースですが,記憶はまだ戻りません。2週間を期限にジェイソンの記憶が戻る手伝いをする契約をしたグレースとジェイソンは,互いに惹かれ合っていることに気付きますが,片や超億万長者,片や保安官を失職して職探しをこれからしなければならない女性と社会的な立場の差にグレースは所詮二人の将来はないものと自制します。「彼がただのJDなら良かったのに。そんな思いが突然湧いてきた。同じ世界の人だったら,つきあって一緒に家庭を築くチャンスだってあったかもしれない。」とグレースはつぶやきます。MB版の表紙にはグレースのイメージモデルは,茶色で散切り風のショートカットヘアーでブルーがかったグレイの目の引き締まった顔立ちのモデルが使われています。ヒョウ柄のノースリーブのトップスに腕にはダイヤがちりばめられた腕輪をしています。印象的なのはなんといってもその鋭いながら優しそうな色合いの瞳と高い鼻,そして自己主張をしっかりしそうな口もとです。本文中に描かれたグレースのイメージを見事に伝えているよい表紙です。「私は根をおろした暮らしを望むけれど,彼はホテル住まい。私は秩序を重んじ,彼は混乱を生きがいとするゲームをつくっている」
 さて彼の所有するサンフランシスコの「ピナクル」本社ビルに入ると,さまざまな記憶がよみがえってきます。きっかけはエレベーターのなかで出会った婦人の香水だったり,彼自身のペントハウスからの眺めだったりしますが,完全に記憶が戻るのは,なんと彼を裏切り,しかも彼の脇腹の刺し傷の原因となったかつての恋人だったりするのです。彼が激しい頭痛を訴えるたびにグレースは敏感にそれを察知し,薬を飲ませたり,すぐに対応するのでした。そんなグレースにジェイソンはすっかり頼っていきます。そしてグレースを組み伏せて唇を奪い,そのまま・・・。しかしそれはグレースも望んでいたことでした。一度深い関係になってみると二人は一時も離れがたくなっていきます。どこへ行くにも二人で行動するのをジェイソンの仲間やスタッフは,はじめは警戒しているのですが,やがてそれを認めるようになっていくのでした。でもいずれこんな関係は長くは続かないとグレースは思っています。そして記憶が完全に戻り,会社のパーティが開かれた翌日,いよいよグレースはジェイソンの元を去る決意をするのでした。仕事から戻ったジェイソンはまとめた荷物を脇に置いているグレースに仕事を提供するから出ていかないでと頼み込むのですが,グレースが聞きたかった言葉は仕事のことではないのはいうまでもありません。すでに自分からは愛の告白をしているグレースは,だから出ていくのだと言いますが,その言葉の意味をジェイソンは理解できないのでした。やがてグレースが出ていって数日後,ホテルのスタッフがジェイソンの仲間の元にペントハウスで大きな音がしてノックをしても返事がないという訴えがありました。仲間が駆けつけるとジェイソンは取り乱しており,部屋のあちこちにものが散乱しています。グレースを求める気持ちが整理できずに腹を立てていたのでした。そんなジェイソンに仲間はそっとジェイソンの気持ちを思いやり,グレースを追いかけるべきではとアドバイスするのですが・・・。
 たくましいヒロインのグレースにオタクで繊細なジェイソン。身元不明者だったときからずっと面倒を見続けてきたJDと,身元が分かって億万長者で仲間もいることが分かってからのジェイソン,二つの人格のどちらにも恋しい気持ちを感じていくグレースの複雑な心境がしっかりと描かれ,ちょっと甘えん坊かなと思えるジェイソンが最後は男らしく告白していくまでを描いた好著です。記憶喪失ものとしてもストーリーのほころびがなく,脳震盪がキーワードとなってジェイソンの症状がうまく説明されたり,二人の間でジョークのネタになったりと便利に使われているところがうまいなと思わせられました。なお,原題の「Fieancee」が誰を指しているのか,ちょっとわかりにくいですね。グレースとは婚約者の振りはしますが正式に婚約していたわけではありません。ただ,マスコミが彼女と婚約したかのように報じたという伝聞が書かれています。あるいはかつての恋人ヴァネッサのことを指しているのでしょうか,最後にデートした相手としか書いてなかったと思いますが,行方不明事件の直接的きっかけになったのですから。一方,邦題の「せつない献身」は蓋し名訳ですね。グレースの気持ちと行動が込められたタイトルです。


タグ:イマージュ
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