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ニューヨークの騎士 [マリー・フェラレーラ]

SHALOCKMEMO434
ニューヨークの騎士 Diagnosis : Danger
( Docters Pulaski 2 ) 2007」
マリー・フェラレーラ 小林りりこ





 本作は,SHALOCKMEMO419「ボディガードは眠らない」の関連作。
ヒロインたちは5人姉妹で全てが医者か医者の卵という化け物のような,信じがたい家族のロマンス。翻訳では第2作の「ボディガードは眠らない」が先に翻訳されていますが,Fantastic Fictionでは本作が第1作のように表記されています。しかし,ストーリーの途中で姉のサーシャの結婚式がでてくることから,時間の経過を重視して「ボディ・・・」が先に翻訳されたものと思われます。傑物はこの5人姉妹の母親マグダ・プラスキ。ポーランド移民のプラスキ夫妻はこの母親マグダで持っているようなもの。しかもそれを夫のジョセフ(ポーランド語ではなんと発音するのか? ヨーゼフではドイツ語風だし・・・)がしっかりと支えており,愛情あふれる一家の様子が生き生きと描かれているのもこのシリーズの特徴です。
 さて,ストーリーは次女ナターリャは小児科医で,友人でゲイのクランシーが謎の電話をよこしたきり連絡が取れなくなり,遺体となったクランシーを発見します。死因に不自然さを感じたナターリャを一目見て,刑事のイタリア系のマイケル(マイク)は,ナターリャの言葉に嘘がないことを感じ取り,ホームレス連続殺人事件の忙しい捜査の合間にクランシーの死の謎をナターリャと一緒に捜査していきます。互いに惹かれ合う二人ですが,その中にポーランド系とイタリア系という民族の違いが見え隠れして移民社会アメリカの状況が巧みに描かれています。「人種のるつぼ」という訳がされていますが,これは年配の人にしか通じない日本語になりつつあります。最近は「人種のサラダボール」と言われるようになっているそうですが・・・。イタリア系のマイクも大家族の中で愛されて育ち,イタリア系は親族の絆が固いことはアメリカドラマや映画でもつとに有名な話です。
 一方で,ナターリャにはマイクに惹かれつつも,マイクに隠している秘密がありました。その秘密がナターリャが医者になるときに小児科を選択した理由だということ。その理由をいつマイクに打ち明け,それにマイクがどのように反応するのか,さらにその状況が連続殺人事件とどのように関連していくのか。作者フェラレーラは,それらを巧みに関連づけ,最後まで飽きさせないミステリアスな雰囲気を見事に作り出しています。
原題は,直訳すると「分析結果,危険」あるいは,「診断,危険」となりますが,しゃれたタイトルですね。


タグ:ロマサス
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