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夢描く青いキャンバス [ノーラ・ロバーツ]

SHALOCKMEMO681
夢描く青いキャンバス Born in Shame 1996」
ノーラ・ロバーツ 清水はるか





 コンカノン姉妹に異母姉妹がいた。前作ですでに触れられているように,姉妹の父トム・コンカノンは,アメリカからやってきた女性に愛を感じ,女性の方もトムのやさしさに深い思いを抱いていたことが,屋根裏部屋からブリアンナが見つけた手紙によってわかっていた。ローガンがアメリカの探偵社に依頼してその女性を探し続けたものの,次々と転居した彼女の足取りがなかなかつかめず,やっとたどり着いたときには彼女はすでにこの世を去っていた。本作はその娘シャノンが母から本当の父親の名前と居所を聞いたところからスタートする。死の床にあったシャノンの母親アマンダは,シャノンに出生の秘密を告げる。自分の父親はすでに亡くなり,わずかの間に母親も死の床についた。そのまま秘密をあの世に持って行ってほしかったものの,知ってしまったことから逃れることはできない。しかもシャノンは商業デザイナーとして多忙を極めている会社での昇進がかかっている大事な時期。会ったこともない異国の姉妹のことを考える余裕などはなかった。訪ねてきた探偵社の男は,正に母の葬儀の翌日にやってくるという間の悪さ。ソウしているうちに,アイルランドの姉でアルブリアンナから心のこもった手紙が届き,自分の出生と自分の人生に整理をつけるためブリアンナのコテージを訪ねる。そこで出会うのは,運命の人,マーフィー。
 第1作,第2作でコンカノン姉妹の隣人としてしょっちゅう顔を出すマーフィーが,シリーズ最終話の本作ではヒーローとして活躍します。農夫でありながら多くの蔵書を持ち,詩人さながらに言葉を紡ぎ出し,様々な楽器の演奏もできるという多彩な才能を持つマーフィーの家や家族たち,そして性格が本作の大きな柱になっています。また,シャノンは商業デザイナーとしても才能を発揮していましたが,自身が趣味で描いている絵にも,プロ並みの才能をもっており,それを見抜いたローガンが,自身のマネージメントを受けて個展を開くようシャノンを説得にかかります。前2作で登場したマギー夫妻とブリアンナ夫妻の子供たちもにぎやかに顔を出し,コンカノン・ファミリーが次第に大きな家族を形成していく様子が全編を通じて表れています。が,なんといってもマーフィーとシャノンの激しくも深い愛の物語が中心の秀作です。


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