恋するキャロライン [アン・メイザー]
SHALOCKMEMO692
「恋するキャロライン Caronine 1965」
アン・メイザー 秋庭葉瑠
アン・メイザーのデビュー作。1965年(昭和40年)上梓といいますから,その年生まれた人は今年でもう48歳。ヒロインとルームメイトの暮らすフラットに電話がなく,大家さんのところの呼び出し電話(これはもはや知っている人の方が少ないと思うが)のみであることや,男女関係に対する感覚に古めかしい点があるものの,世慣れた大人に憧れるファザコン的なヒロイン(17歳)のヒーローに憧れる気持ちがよく表現されており,その後の多作家アン・メイザーのデビュー作としては,なかなかの1作と言えそう。ヒーローで,ヒロインの会社の社長であるアダム・スタインベックと,前妻の息子であるジョンの両方を相手に,自分の気持ちに正直に生きようとするキャロライン・リンゼイの直向きさが,とてもさわやかな作品で,世間知らずな少女であるものの,少しずつ成長していきながら,本物の愛を貫き通そうとする真剣さは,逆に現代の乙女たちが失ったものであるかもしれない。
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