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シークに娶られて [メイシー・イエーツ]

SHALOCKMEMO716
シークに娶られて Heir to a Desert Legacy 2013」
メイシー・イエーツ 槇 由子





大学院生から科学者,研究者になりたいと強く望んでいたクロエ・ジェームズ。しかし彼女にはアタール国の後継者アデン・アル・カダールを,異母姉タマラの代理母として出産したという現実があった。そのクロエとアデンの許を,アタール国の摂政で故ラシッドの後の暫定シークとして務めるサイードが訪れる。身を隠すように暮らしていたクロエに,後継者アデンの安全と国民の希望を叶えるためアタール国へ連れて行こうとする。クロエは代理母に過ぎずアデンが連れ去られることには文句が言えない立場であったが,出産後ラシッド,タマラのシーク夫妻が亡くなってしまった今,アデンを母親として愛することができるのは自分しかいない,という思いから,研究生活を途中で投げ出してもアデンとともにアタール国に赴くことを決意する。

生まれたときから王弟として自らが王位に就くことを想定していなかったサイード。後継者アデンが16歳になるまでの暫定的なシークの座であり,アデンの安全を守ることにすべての精力をつぎ込むことが運命と信じて生きてきたサイード。戦士として,すべての感情を捨て,自分の務めを果たすことだけを期待され,そのように教育も訓練も受けてきたサイード。そのサイードの冷たい態度と言葉にクロエは反発を感じ,アデンを愛情深く育てるのは,自分しかいないと思いを強くする。しかし,一方,男性的なサイードの魅力も感じつつあった。宮殿での生活のなかで,次第に接触が増えてくるクロエとサイード。互いに惹かれあっているものの,クロエがアタールに残る期間は1カ月しかない。アデンから離れがたく,サイードの魅力にも気づいたクロエは滞在期間を延ばすことを提案するが,その方法をサイードは自分との結婚という形で果たそうとする。しかも,あくまで契約上の夫婦として。そして,クロエにもサイードにも過去につらい体験があり,その過去を互いに知ることにより,二人の関係は急速に深まっていく。

ストーリーとしてはあまり特別なものはないが,クロエ,サイードの二人の過去と心の動き,そして二人の取った行動が詳しく描かれ,舞台を見ているような感覚にさせてくれる作品。


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