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裏切りのハネムーン [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO804
裏切りのハネムーン The Greek Tycoon's Disobeidient Bride
(三人の無垢な花嫁 1) 2008」
リン・グレアム 漆原 麗





母親同士が一人の男性を取り合い,深い因縁をもったオフィーリアとリサンダー。その二人を祖母の遺言は結婚という形で結びつけた。庭の植物の世話とわがままな祖母の世話から青春を過ごすことのなかったオフィーリア。そして貧しい少年時代を過ごした後,メタクシス家の養子となり,努力の末事業を拡大して富豪となったリサンダー。オフィーリアの住むマドリガル邸は荒れるに任せられていたが,祖母は決してメタクシス家には売ろうとしなかった。それは,オフィーリアの母が結婚式の当日にリサンダーの養父に捨てられた過去があったからだった。養子であることは世間には知られていない。そして養母のヴァージニアが癌を患っている今,なんとしても急いでマドリガル邸を手に入れ,母を養生させてやりたい気持ちで,リサンダーは遺言どおりオフィーリアに結婚しようと持ちかける。世界中の美女と浮き名を流し,どんな美女とでも2週間以上は交際が続かないという噂のリサンダーとの結婚など,オフィーリアにはとても耐えがたいことだった。しかし,経済的な行き詰まり,そして行方のわからない妹を探したいという切実な気持ちと,リサンダーに世話をしている庭のある土地に鍵をかけられてしまったことで,仕方なく結婚を承諾する。
二人は便宜的な結婚をしたのですが,実はマドリガル邸で遺言を聞くために出逢った二人は直感的に互いに好意を抱いていたにもかかわらず,周りの状況がそれを許すようなものではなかったため,互いに自分の気持ちを押し殺さざるを得なかったのです。そして,他の女性とは違うオフィーリアの行動をことごとく曲解してとらえてしまうリサンダーと,その言葉にさらに逆上してしまうオフィーリアとの間には,もう修復不可能ではないかと思わせるような隔たりが感じられてしまうのでした。それでも互いに肉体的に強く惹かれ合う気持ちから,キスからはじまり,結婚後は普通の夫婦のような関係を持つことになるのです。オフィーリアにときどき口答えされて,思わず強がった発言をしてしまうリサンダーの慌てぶりには,思わずニヤリとさせられます。その関係が続く限り二人は決して別れないだろうなと予想できます。何度かオフィーリアがリサンダーの元から逃げようとしますが,そのつど自ら説得に向かうリサンダーの誠実さも好ましいですし,二人の誤解が少しずつ解けていくストーリーもとても気持ちよく,暖かい気持ちにさせてくれます。互いに愛し合っていることをいつ二人が正直に打ち明け合うのか。そんな二人を読者は温かく見守ってあげたくなるような気持ちにさせられる作品です。


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