賭けられた花嫁 [メラニー・ミルバーン]
SHALOCKMEMO839
「賭けられた花嫁 Never Gamble with a Caffarelli
(カッファレッリ家の祝祭 3) 2013」
メラニー・ミルバーン 中村美穂
三部作の最終巻です。末っ子レミーと宿敵アンジェリーク,祖父の代からの因縁の二人ですが,実はアンジェリークは15歳のときからレミーに恋し続けていたのでした。しかし,二人は出会う度に口げんか。しかもレミーはアンジェリークの父アンリ・マルシャンとのカードゲームでアンジェリークが母から譲り受けたタラントロッホ城をせしめ,因縁の対決に決着をつけたのでした。こんどはアンジェリークがレミーに城を返して欲しいと懇願に行きます。レミーが滞在していた大学時代の友人の砂漠の国の皇太子のところでは,未婚の男女が一緒の部屋に付添なしでいることは死罪に当たるという厳しい国柄。それを知らずにレミーのホテルのスイートルームに忍び込んだアンジェリークは,警備人に見つかってしまいます。とっさの機転でレミーはアンジェリークが婚約者だと偽りを述べてしまいます。そして,真実を告げる暇もなく二人の結婚式が行われてしまうのでした。水着モデルとして抜群のスタイルと美しさを持つアンジェリーク。しかしその姿は彼女の真の姿ではなく,父親に反抗するために自ら作り上げた虚像でした。本当はデザイナーとして自分の才能を生かしたかったのです。服を着る方ではなく作る方が自分の最終目標でした。レミーはホテルチェーンを持つロバート・メイプルトンから安価でチェーン店を譲り受けるチャンスをつかみ,これまでの彼の取り引きのうちで最大の取り引きをまとめようとしていました。そのため,タントロッホ城へメイプルトンを招待し,アンジェリークの手料理でもてなそうと考えていました。それを彼女が承諾するなら,デザイナーを立ち上げる資金援助をすることを餌にして・・・。メイプルトンを待つ間に豪雪降り,タントロッホ城は雪に閉ざされてしまいます。二人は互いに惹かれ合う気持ちを抑えきれずに関係を深めていきますが,男性と同じ権利を女性も持つべきだと考えるアンジェリークは関係でも常に対等を目指します。そんな彼女にレミーは惹かれていくのですが,自分の財産狙いの偽りの結婚だという想いから離れることは出来ません。メイプルトンとの交渉はアンジェリークのおかげでうまく進み,二人の契約結婚は終わりを告げようとしていました。そんなときアンジェリークの体に異変が起こり,妊娠か?となるのですが,二人の関係はこのまま終わりを告げてしまうのでしょうか。それとも妊娠をきっかけに永続的なものになるのでしょうか。いえいえそんな単純な終わり方はしません。最終巻らしく,アンリ・マルシャンがもたらした爆弾発言の後,レミーたちの祖父,そして兄たちのカップルも登場し,大団円を迎えるエピローグですが,「賭にでたんだ」という台詞とともに余韻を一杯に残したしゃれた終わり方で,本作としての結末もきっちりつけています。
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