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プリンセス・レッスン [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO841
プリンセス・レッスン The King's Convenient Bride
(愛の国モーガンアイル 1) 2008」
ミシェル・セルマー 竹内 喜





「愛の国モーガンアイル」シリーズの第1作です。モーガンアイルの国王フィリップと婚約者ハンナのロマンス。フィリップには妹のソフィー,そして異母弟のイーサンがいますが,二人も時折登場し,特にソフィーは本作でも重要な役割を果たしています。ディザイアの整理をしていて本シリーズが未読だったことに気づき,手にしてみました。
国王夫妻だった両親の元で育てられ,愛のない家庭生活を送り孤独なまま成長したフィリップは,どのようにして人を愛したらいいかわからないでいます。一方16歳で始めてフィリップに会い,その妻となることを8年間もかけて準備してきたハンナ・ルノーは,もともと父親がモーガンアイルの出身で王家ミード家とも遠い親戚に当たることから,先王もハンナを皇太子妃とすることを進めていたのでした。しかし国王が亡くなりすでにフィリップが王位を継いでいるので,皇太子ではなく王妃としての結婚ということになるのでした。一人っ子で一人娘,そんな境遇で父からは絶大な信頼と愛を受けていたハンナのちょっとした悩みは父が1年前に亡くなったばかりなのに,母親はもう違う人と結婚しようとしていることでした。これほど純真で芯が強くしかも美貌に恵まれた娘を持ったハンナの父は,おそらく目の中に入れても痛くないという思いでハンナを育てたことでしょう。結婚式までの2週間,ハンナは王室になれるための勉強と,結婚式の準備に忙しい時間を過ごしますが,国王フィリップとも少しずつ近づこうとします。しかし初夜までは純潔を守ろうと固く決心をしてはいるのですが,フィリップの男性としての魅力に時に負けてしまいそうになります。フィリップも初めはハンナとの関係を式の前に確かめておきたいという気持ちを持っていましたが,きっぱりとしたハンナの決意を尊重しようとする気持ちがわいてくるのでした。確かにハンナはこれまでフィリップが付き合った女性とは異なり,フィリップの地位や財産目当てではなくフィリップ自身に惹かれ,大切にしょうとしていることが伝わってきたのでした。しかし王妃になるために嫁ぐということに対する漠然とした不安やこれでいいのかという気持ちが結婚式前日のハンナを襲います。その気持ちを察したかのようにハンナの部屋のドアをノックしたフィリップが声を掛けてくれたおかげで,ハンナの迷いはすっかり解けたのでした。式後の2週間の地中海クルーズでしっかり打ち解けたと思われた二人ですが,宮殿に戻ったとたんフィリップの態度が元の冷たいものに戻ってしまいます。国王としての務めがあることはハンナもよく理解し,フィリップの気持ちに近づこうとしているのですが,パーティで自分に声をかけてきたフィリップの元恋人の言葉に,ハンナの気持ちは大きく揺れます。しかも体調不良から妊娠検査キットで試したのに陰性だとわかったとき,ハンナはこの結婚に未来はないことを知らされるのでした。この時,二人の関係の修復にソフィーが絶大な力を発揮します。フィリップはハンナに対する自分の気持ちに素直になれるのでしょうか。シリーズ第1作としては,単品としてのストーリー展開にも充実感があり,秀作と言っていい作品だと思います。そしてなにより,ハンナ・ルノーの女性としてのすばらしさに拍手です。


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