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誘惑のチェスゲーム [リン・グレアム]

SHALOCKMEMO871
誘惑のチェスゲーム The Italian Billionaire's Pregnant Bride
(非情な恋人 3) 」
リン・グレアム 中野かれん





リスト整理でちょっと気になった作品です。名手リン・グレアムの作品ということもありますが,ヒロインが,昼はウエイトレス,夜は清掃人という苦労して生活している女性であることと,チェスの腕前に優れている頭の良さそうな人物であること,そして何となく小柄だが美しい容貌を持つ人であるような感じがしたからです。ヒロイン,キャシー・ガルビン,身長はわかりませんが,その他は大体想像通りでした。イタリア人実業家セルジョ・トレンテのオフィスの清掃を担当していたキャシーは,「手を触れないでください」と注意書きされたチェスの盤面を毎晩少しずつ駒を動かすという誘惑に駆られてしまいます。養父から教わったチェスの腕前。夜間たった一人で静まったオフィスで黙々と清掃作業を行う彼女にとって,やや気晴らしには丁度良い行動だったからです。翌日警備担当者からチェスの駒が動かされていると報告を受けたセルジョは,ふとその「手」が見事な手であることに気づきます。そして誰がやっているかに興味を持ちます。警備担当者にとっては監視カメラで調べるか,一晩中見張っているかのどちらかしか犯人を突き止めることは出来ません。何日か後にたまたま監視カメラに犯人の姿が映ります。そしてそれが清掃員の格好をしたキャシーであることも。セルジョは一清掃員がなぜそんな見事な「手」で駒を進めているか気になり,友人たちがおもしろがって誰かを派遣しているのではないかと考えますが・・・。
キャシーは以前務めていたお屋敷で窃盗の容疑を掛けられ,2年間の服役生活を送らざるを得ない経験を持っていました。しかも貧しい自分が誰にも助けてもらえず,雇い主の言い分を全面的に認められ,無実の罪をかぶって服役し,服役中怪我をさせられて背中を始めあちらこちらに傷を残されたという苦い経験から,自立し,人を信用しないようにと生きてきました。自分の生活を立て直し自分の生活を守るため,法律を勉強したいという強い意志を持つようになったのです。しかし,セルジョに犯人扱いされ,セルジョに惹かれながらもその気持ちを隠していくようになるとは思いもしませんでした。セルジョもまた,変わった手段で自分の財産を狙っていると思われる女性に自分が惹かれていくとは思いもしませんでした。セルジョのツンデレぶりが本書の魅力でもあります。そんな二人が,互いを信頼しあうまでのストーリーが展開されます。キャシーの魅力が満載で,本の中の女性でありながら思わず目の前にいるかのような存在感のある人物造型は,さすがグレアムといわせる作品です。シリーズ最終作を先に読んでしまいましたが,セルジョの友人二人とその妻たちも登場し,第1作,第2作への興味がわきます。


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