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水仙の家 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO921
水仙の家 Shadowed Stranger 1985」
キャロル・モーティマー 加藤しをり




K-130
13.02/¥669/156p

R-0407
85.08/¥500/156p


サンフォード村のオーチャード・ハウス(水仙の家)に見知らぬ人が住んでいる? 図書館に勤めるロビン・キャッスルは両親の経営する村の商店で弟のビリーと4人家族。特にずば抜けた美貌を持つわけでもない18歳のロビンだが,誰も住んでいないはずのオーチャード・ハウスの庭で遊んでいる弟に,ここで遊んではいけないと注意したとき,大きな音がして門の前に止めていた彼女の自転車が車に惹かれて壊れた音だと気づいた。あわてて茂みに隠れた二人だが,車から降りた男性に見つかってしまう。直ちに立ち去るように言われて腹を立てたロビンだが・・・。こうしてロビンとリックの出会いは始まった。
リックがどんなわけでハウスにいたのかは家に帰ってみて母から聞くことになります。つい最近越してきたというのです。家具を新調した様子も無く,世捨て人のように暮らすリックに母は食べるものを届けるように言いつけます。何度かハウスに食べる物を届けたロビンはあるとき,リックにキスされてしまいます。ロビンの勤める図書館にも訪ねてきたリック。次第に惹かれる気持ちと,図書館の同僚にボーイフレンドのことを聞かれて思わずリックの名前を言ってしまうロビンなど,18歳の娘らしいロビンの愛らしい反応を作者はうまくちりばめて,18歳の年の差のあるカップルが成り行きで次第に惹かれ合うようになるストーリーを展開していきます。そして雨の日にリックの車が事故を起こしそれを発見した弟が通報してリックがロンドンの病院に運ばれてしまうと,それっきり音信が途絶えてしまいます。村から,両親の元から離れることなど考えもしないロビンの初恋は終わったかに見えます。しばらくして同僚に誘われるままにダンスに出かけたロビンはハンサムな男性ブライアンと出会います。ブライアンはすぐにロビンに惹かれ,やがてロンドンの家に招待されたロビンはしぶしぶ出かけますが,そこでリックと再会するのでした。リックはブライアンの親戚で妻と称する美女とパーティに現れます。しかもリック・ハワースではなくオリバー・ペンドルトンという名前で・・・。すっかり騙されていたと考えたロビンはリックから言葉をかけられても腹を立てて言い返すばかりでした。ブライアンからは結婚しようと何度も言われたにもかかわらず,リックとの思い出を忘れられなかったロビンはその申し出を断り続けます。傷心の思いで家に帰ったロビン。そこに再びリックが現れます。
さて,リックはいったいどんなつもりで妻帯者でありながらロビンに言い寄ったのでしょうか。大人になりきれていない若いロビンと,秘密を抱えながらそんなロビンに惹かれていくリックのロマンスは悲劇に終わるのでしょうか。ストーリーテラーのキャロル・モーティマーはちょっとした視点の変化で見事にこの問題を解決してエピローグに向かうのです。このカタルシスが読者を溜まらなく爽快で暖かい気分にさせます。作者の真骨頂を見事に見せてくれる秀作。


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