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半年だけの結婚 [ペニー・ジョーダン]

SHALOCKMEMO962
半年だけの結婚 The Flawed Marriage 1983」
ペニー・ジョーダン 安引まゆみ





片足に障害が残り,困難の連続のアンバー・ダグラスは就職のための面接が不首尾に終わり落胆して道を歩いているとき,脇を通り過ぎた車を運転していた男性に声を掛けられます。「妻を捜している」という言葉を理解したのは,一人息子ポールの親権を取るために妻が必要だという意味でした。「君がふさわしい」というのはポールもまた足に怪我を負い,リハビリを受けなければならない状況で,母親に捨てられた心の傷を埋めてくれるのは同じ悩みを持つアンバーの方がいいと思われたからでした。怪我の前に付き合っていた医学生のロブには捨てられ,養護学校の教師になる望みも今は採用がないと打ち切られ失意のそこにあったアンバーにとって,生活のためにジョエル・シンクレアのこの申し出を受けることは躊躇する余地はあれ,断り切れるものではありませんでした。ポールもすぐにアンバーに懐き,新しい生活が始まります。時々冷酷になるジョエルではありましたが真剣にポールを育てようとする気持ちにアンバーは惹かれていきます。そしてジョエルの男性としての魅力にも・・・。しかし初めから便宜的な結婚しか望んでいないジョエルに愛してもらえるはずがないことやポールの母であるテリーの存在もアンバーにとっては悩みの種です。意地悪で自分のことしか考えられないテリーはポールを嫌っているのに離婚を言いだしたジョエルを傷つけるためだけにポールの親権争いを挑んでいるのでした。ジョエルとアンバーの間にある微妙な男女の関係への期待が徐々に親密さを増してきて,いつしかアンバーは足の痛みを忘れていくようになります。散歩や水泳でポールも次第に元気を取り戻しますが,テリーがいっこうに自分の方を向かないジョエルの態度に業を煮やし,ついにポールの誘拐を企てるのでした。ポールを守らなければという必死の思いとジョエルが助けに来てくれるかもしれないというかすかな望みを捨てないで果敢に誘拐犯に立ち向かうアンバー。まもなく契約の半年を迎えようとしており,二人の間に将来はないという絶望感との狭間でアンバーの気持ちは揺らぎます。アンバーとポールの運命や如何に・・・。
体の障害は心の傷を癒やされることによって克服できるというメッセージが伝わってくるヒューマンなロマンスです。元々美しかったアンバーがジョエルやポール,そしてポールの祖父母でテリーの両親との交流で次第に自信を回復し,美しい女性として変身していく様子が描かれた秀作です。オススメです。


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