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まやかしのクイーン [モーリーン・チャイルド]

SHALOCKMEMO992
まやかしのクイーン Marrying for King's Millions
キング家の花嫁 2) 2008」
モーリーン・チャイルド 江本 萌





キング家の花嫁のシリーズの第2弾です。キング家の次男でワイナリー経営者のトラヴィス・キングと,かつてのキング家の料理人の娘でベーカリーを開くために資金を貯めている女性ジュリー・オハラのロマンスです。キング家の本拠地がどこなのかは第1巻では示されませんでしたが,本作で「バークフィールド」という町の名前が出てきます。Googleでざっと検索するとカリフォルニアの有名なサンアンドレアス断層の記事の中に「パークフィールド」という名前が出てきますので,おそらくこのあたりを想定した架空の地名なのでしょう。それ以上はあえて深追いはしませんでした,いずれシリーズを読んでいく中でまた登場するかもしれません。「バークフィールドは小さいながらも活気ある町」で「地元の人間は高速道路でⅠ時間以上もかけて周辺の大きな町に行ったりせず町内で買い物をすませる」とありますので。まあ普通の地方都市という感じなのでしょう。また,キング三兄弟の「父が4人兄弟で,それぞれ3人以上の息子をもうけていた」斗有,「カリフォルニアで石を投げれば,かららずいとこの誰かに当たる」などとあり,何人かの名前も出てきます。まずキング・コンピュータのネイサン,双子のグリフィンとジェラルドが結婚式の場面で登場します。いずれも男子ばかりですのでキング家は男系一族なのかと思ってしまいます。まだこれから女性の名前も段々に登場してくるのかもしれませんし,三兄弟の子どもたちはいずれも娘ばかりですから,そんな形でバランスを取ろうとしているのかもしれません。いずれにしてもこのシリーズを長続きさせようとする作者の意図が感じられて面白いです。もし全ての「キング」たちを主人公にして書き続ければ,一大キング帝国の壮大なロマンス絵巻が広がるでしょう。現在つかんでいるのは“Kings of California”のシリーズの11巻と番外編1作の計12作ですが(数え違いがあるかもしれません),次第にカリフォルニアでは飽き足らなくなり,アメリカ全土,さらには海外にまで足を伸ばし,いずれ日系のキングが登場するかもしれませんね。
さて,本作ですが,トラヴィスとジュリーの結婚式直前の場面から始まります。ワイナリーを経営するトラヴィスは販路拡大のためトーマス・ヘンリーとの契約を進めていました。しかし,独身のトラヴィスにトーマスはいい返事を保留しています。そこで便宜的花嫁として幼い頃から遊び仲間だったジュリーに便宜的結婚を申し出たのでした。ベーカリーの開店資金がなかなか集まらないジュリーとしても1年の契約期間が終了したら資金を提供するというトラヴィスの提案には逆らえなかったのです。そして,なにかと二人の間の磁石が強くなり始めたときパパラッチによる過激な写真や,思わぬ邪魔が入ります。ジュリーはかつてジャン・クロード・ドーセットというフランス人男性と結婚していました。しかし結婚生活はうまくいかず離婚したのですが,結婚披露パーティにドーセットが現れ驚愕の事実をジュリーとトラヴィスに話すのでした。それは,二人がまだ正式に離婚していないと言うこと・・・。つまりジュリーは重婚を犯しているというのです。ドーセットの狙いはダタ一つ,つまり金銭の要求でした。ドーセットを追い払うためトラヴィスは10万ドルの小切手を渡します。この件を兄弟たちに話すとアダムはドーセットを詳しく調べ,必ず弱みを握る必要があると言います。トラヴィスはまず新婚旅行先をメキシコに変更し,地元の法務官に交渉してドーセットとジュリーの離婚を成立させ,自分とジュリーの結婚を正式なものにしようとします。ところが,新婚旅行先のホテルのベランダで魅力的なジュリーに触れている写真が翌日の新聞にでかでかと出てしまいます。きっとドーセットの仕業・・・。このあともドーセットはなにかとマスコミを使って嫌がらせをしてくるのです。業を煮やしたジュリーはドーセットに直接会って嫌がらせを止めるよう交渉しようとするのですが,それも逆に写真に撮られ侮辱的なコメントを付けられてしまうのでした。トラヴィスはジュリーにますます引かれていく自分と,ドーセットとジュリーが未だに関係を続けているのではないかという疑いとの間で板挟みになり,最後までジュリーを信用できない自分に焦りを感じていました。そんなとき,ジュリーの妊娠が分かります。さて,二人の関係は?そしてトラヴィスはうまく商談をまとめられるのでしょうか。キング家という常に注目を浴びている一家とマスコミとの関係を中心題材に描き,これからもこんなことが愛するもの同士の関係を邪魔することになるということをはっきりさせている作品です。日本ではいわゆる芸能週刊誌的な存在が欧米ではタブロイド紙ということなのでしょうか。芸能リポーターという人々が日本でも芸能人を追っかけ,心ない質問をすることで嫌な思いをしているのを見ていますが,それを知りたがる読者がいるということも事実で,また社会的影響力の強い公人であればプライバシーが侵害されるのも有名料という人もいますが,あの,人の名誉や心を傷つけることを平気で質問し,さらにそれを報道の自由だと主張する人たちには本当に腹が立ちます。少なくても自分がそれに荷担していないことだけでも救われているのですが・・・。


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