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略奪 [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1015
略奪 Sensual Encounter 1983」
キャロル・モーティマー 井上絵里





原題は「官能的な出会い」,これがどうして「略奪」という邦題になったのかよく分かりません。「誘惑」ぐらいならふさわしいと思うのですが・・・。
広告代理店を独力で立ち上げたキャサリン(ケイト)・メアリー・コリヤーがヒロイン。そして会社の大口取引予定会社「メルフォーズ」の社長ジャレド・ローク・メルフォーズがヒーローです。「三ヶ月前の三月中旬」にジャレドとケイトは出会い,丸々二日間,スキンシップを深め合います。その後,ジャレドはカナダへの出張があり,ケイトは偽名のままジャレドの元に連絡先を残さずに別れます。信頼して5年間も貢ぎ続けていたブライアン・リントンに浮気され,ブライアンはそのままコーラルという金持ちの未亡人と結婚してしまいます。ブライアンは画家でした。画廊の経営という不安定な職業と,売れるはずの自分の絵を個展で・・・という夢に出資してくれるコーラルにすっかり嵌まってしまったのです。その傷心を埋めるためたまたま出会ったホテルのバーからジャレドに身を任せてしまったケイトでした。ジャレドと別れた後,ケイトはリチャード・ジェームズという実業家と婚約します。互いに相手の仕事を尊重し合い,愛がなくても結婚により安定した家庭を築くという便宜的な付き合いが都合が良かったからです。ジャレドがスーツではなくブルゾンとコットンパンツという身軽な服装でとおしていたことから,決まった仕事をしていない浮ついた生活をしているとケイトが思い込んでしまい,ジャレドとの交際は再びブライアンとの交際の二の舞になることがケイトには耐えられなかったので,本名や連絡先を告げなかったのです。そしてリチャードが婚約指輪をはめてくれたその日,ジャレドがケイトのフラットにやってきたのでした。しかもその時まだリチャードはケイトのフラットにいたのです。二人の関係を知らせていなかったケイトはとっさに階下に住むジルを訪ねてきた男性だとリチャードに嘘をつくのでした。翌日会社に60本の薔薇の花束をもったジャレドがやってきます。アシスタントのベリルには,兄だと紹介し,さらに嘘を重ねていくケイト。ベリルは自分には兄も妹もいないことを知っているにもかかわらず・・・。ジャレドはその後も泊まるところがないと言ってケイトのフラットに居座ってしまいます。このことがジャレドには定職も家もないのだとケイトに思い込ませてしまいます。「自分と結婚するはずだ」と開き直るジャレドに,ケイトは抵抗できずにキスを深めてしまいます。そして「メルフォーズ」社との契約の場で,重役のハークネスがやっと会ってくれることになり,赴くと,初めは迷惑そうにしていたハークネスが,電話が一本入るや,手のひらを返したように丁寧に応対を始め,契約を前提に話を始めたではありませんか。きっとリチャードが手を回してくれたのだと思い込むケイト。しかしその夜も次の日もリチャードからは連絡がなく,週末はフランスに出張だというのです。メルフォーズとの契約がうまくいったかどうかをリチャードは聞きもしません。そして出張から帰ったら二人の結婚をこのまま進めていいかよく考えるように言われてしまったのです。その背景にはジャレドとの関係をリチャードが疑っているのではと思わずにはいられませんでした。そして,突然フラットにやってきた元恋人のブライアン。どうやらコーラルとの関係が悪くなり,コーラルとは離婚するから復縁しないかと言う始末です。きっぱり断ったケイトですが,今度はジャレドがケイトとブライアンの関係を邪推するようになり・・・。翌週リチャードの元を訪れてケイトはきっぱり婚約の解消を申し出て指輪を返します。そしてリチャードはさもありなんという顔をして驚愕の事実をケイトに告げるのでした。ジャレドが実はロークというのは母方の姓で,本当はジャレド・メルフォーズであること,そして社長であること・・・。だまし続けていたジャレドを許せないケイトですが,自分がジャレドを愛していることにも気付いていました。愛か仕事か,嘘か誠か,この狭間で悩むケイト。大切な契約を目の前にして社を離れ,ジャレドとの思いでのホテルに閉じこもってしまったケイトでした。
常に二者択一を迫ってくるキャロル・モーティマーの作品群ですが,本作も運命のいたずらのようなケイトとブライアン,リチャード,ジャレドとの関係,そしてブライアンの妻コーラルと人物造型のくっきりした配役をしたドラマ仕立ての名作です。製作が1983年とかなり古い作品ですが,古さを感じさせない奔放な登場人物たちが魅力です。


タグ:ロマンス
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