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苦い愛の芽ばえ [スーザン・スティーヴンス]

SHALOCKMEMO1080
苦い愛の芽ばえ In the Brazilian's Debt
( Hot Brazilian Nights 2 ) 2015」
スーザン・スティーヴンス 片山真紀





祖母の病気によりブラジルでのポニー飼育研修に参加したエリザベス(リジー)・フェーンは,スコットランドのロッティングディーンという牧場の維持のために,是非とも世界的な権威を持つこの研修の修了証が必要でした。研修を主催するのは,広大なポニー牧場を経営するチコ・フェルナンデス。かつてチコはスラム街で生き延びていたときエドゥアルド・デルガルドに見出され,リジーの住むロッティングディーンで牧童としてリジーとともに成長していた過去がありました。しかしリジーの母,セリーナの欲望に翻弄され,エドゥアルドと共に突然この地を離れてしまったのでした。今,チコは世界的なポロ競技の選手兼牧場主として大成功し,大富豪となっていました。両親が祖母から感動され,すっかり寂れてしまったロッティングディーンを再興し,祖母の期待に添う牧場経営を行うため,ブラジルへやってきたリジーですが,チコとの再会,そして自分を捨てた男性への複雑な思いを抱えたまま,研修初日を迎えます。「復讐という名の料理は,冷め切ったころに出すのが一番いい」という出だしで始まる本書では,裕福な令嬢から広大な牧場を一人で建て直さなければならないという使命を帯びた女性が,かつての恋人との確執を抱えながら,努力して幸せを勝ち取っていくまでの過程が描かれています。
一方チコの方は,ブラジルのスラム街で生き延びた少年時代から,ロッティングディーンでのポロ選手としての才能の開花,そしてリジーの母による裏切りによる追放をいう過程を経て,今や世界的名選手兼牧場主として大成功を収め,自分に愛を注いでくれたリジーの祖母への恩に報いるために,リジーに復讐しようという気持ちが深い愛に根ざしていたものであることに気づき,ロッティングディーンの復興に大きな力を発揮していくまでの気持ちの変化をリジーとの交流を通じて成し遂げていきます。愛憎は紙一重であることを壮大なスケールで描いた成長譚にもなっています。ポロ競技とポニーのことについてはほとんど見たこともなく,想像を超えている要素ですが,馬と人との信頼関係によってなりたつこのスポーツが南アメリカやヨーロッパの人たちに結構深く根付いていることが感じ取れる案内書的な役割も果たしていて興味深い作品に仕上がっています。ポロシャツに代表されるポロ文化が,ちょっと身近に思われました。


タグ:ロマンス
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