シークの罠 [サラ・モーガン]
SHALOCKMEMO1185
「シークの罠 In the Sheikh's Marriage Bed
( Surrender to the Sheikh 5 ) 2004」
サラ・モーガン 井上きこ
ヒロイン:エミリー・キングストン/幼児教育教師/長身
ヒーロー:ザクール(ザック)・アル・ファリシ/カズバーンの王/長身,黒い瞳
いつか王子様が現れて仲の良い家族を作りハッピーエンドの人生を送る,それがエミリーの夢です。兄が借金をし,返済を猶予して欲しいというお願いのため砂漠の国カズバーンの王ザクルール(ザック)のもとにやってきたエミリーですが,王はエミリーの話しを信じず,借金の形に自分との契約結婚を提案します。宮殿にはザックの兄の子どもジャマールがおり,母親ダニエーレの育児放棄により精神的に不安定な状態でした。ところが泣き叫んでいるときにエミリーが話しかけるとすっかりエミリーを頼りにし,懐いてしまったのです。また,ザックの愛馬サハラも,危うくジャマールを踏みつぶすところでしたがエミリーが優しく話しかけるとすっかりおとなしくなり,事なきを得たのでした。このエミリーの人を惹きつける不思議な力をザックは単なる演技だと思い込もうとしていたのですが,実はすでにこの時ザックはエミリーに恋し始めていたのでした。契約結婚は取り急ぎ行われ二人の初めての夜,ザックは彼女の男性経験が初めてであることに驚愕します。これほど魅力にあふれた女性が男性との関係を持ったことがないことが信じられなかったのです。エミリーもまた,傲慢で自分を信じてくれないザックに腹を立てる一方で,ザックを新から愛してしまったことに悩みます。そしていずれ別れが来ることも・・・。
やがて宮殿を出てオアシスでハネムーンを愉しむ二人の元にエミリーの兄ピーターが訪れ,ザックからの借金を全て返したことを告げます。借金はエミリーの義姉の病気の治療に使われていたのですが,一部を投資にあてた結果それがうまくいき,返済が可能になったのでした。いよいよザックとの別れが迫っています。ザックを悩まし続けてきた義姉のジャマールの母も別の男性とフランスに出奔し,二人が偽装結婚を続けていく意味がなくなってしまいました。しかし,エミリーは残る決意をします。自分はザックを愛しており,今はザックが自分を愛していなくてもきっと自分を愛するように努力してみる覚悟を決めたのでした。そんな時,兄から電話があり,話をしているうちにジャマールが砂漠の奥の洞窟に一人で行ってしまったことに気付くエミリー。嵐が近づく中,ジャマールを連れ戻しにザックの馬サハラを駆るエミリー。この最後のスペクタクルが本作を冒険仕立ての素晴らしい作品に仕上げています。人間関係のごたごたからやっと解放されつつあるエミリーとザックが,本当の夫婦として末永く暮らせるのでしょうか。予想どおりのハッピーエンドが本作にふさわしいエンディングであり,これこそロマンス小説の王道をいく作品だと感じさせます。オススメの一作。
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