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伯爵に捧げるセレナーデ [キャロル・モーティマー]

SHALOCKMEMO1242
伯爵に捧げるセレナーデ The Lady Gambles
(3姉妹シリーズ 1) 2011」
キャロル・モーティマー 古沢絵里





 原題は「ギャンブル淑女」
 ヒロイン:カロライン・コープランド(カロ・モートン)(20歳)/伯爵令嬢/仮面の歌姫/
 ヒーロー:ドミニク・ヴォーン(28歳)/ブラックストーン伯爵,賭博クラブ「ニックス」経営者/
 PHS(ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル)を更新していて見つけたシリーズです。かつてはほとんどヒストリカルばかり読んでいた時期がありましたが,ハーレクイン・ヒストリカルからヒストリカル・スペシャルに変わって,ちょっとヒストリカルの分量の重さに食傷していた時期があり,新刊購入を控えていた時期が長く続きました。最近KINDLEでの読書がほとんどになり,分量が感じられなくなったこともあり,またそれへの興味も増してきました。なにより,本国版の表紙の美しさはヒストリカルならではのものがありそれに惹かれているのも否定できません。また,MIRA文庫でのヒストリカルの出版数もちょっとずつ増えているように思います。このシリーズはキャロル・モーティマー作品ということもあり,あまり好きではないリージェンシーではあるものの,ダウンロードしてみたわけです。(ちなみに好きなジャンルはなんといっても中世,もしくはバイキングものですが・・・。)
 さて,このシリーズ,「3姉妹シリーズ」は,伯爵家の3人の美人姉妹がヒロインです。それぞれ単独で次女のカロライン(20歳),長女のダイアナ(21歳),そして末娘のエリザベス(19歳)のコープランド家のロマンスを描いていますが,かなり関連性が深く,3作品で1作のロマンスの各章を為しているともいって良いほどです。そんなわけで,3作読了後にSHALOCKMEMOをアップすることにしました。時は1817年,舞台はイギリスですが,物語はロンドンで始まり,その後ヒーローを務める3人の伯爵の領地に場所を移します。姉妹の住まいであったウェストボーン領地,ショアレイ・パークの4伯爵領が舞台となります。前ウェストボーン伯爵が亡くなり,3人の姉妹の後見人になったのは新ウェストボーン伯爵,前ウェストボーン伯爵の遠縁ガブリエル・フォークナーでした。ガブリエルとその親友のブラックストーン伯爵ドミニク・ヴォーン,オズボーン伯爵ナサニエル・ソーンの3人はナポレオン戦争でともに戦い,兄弟以上に強い絆で結ばれた軍隊仲間。そしてガブリエルの10年前のスキャンダルの真相を知る数少ない友人でもありました。ガブリエルが被後見人である姉妹の内の一人と結婚するという話しを誰もまともではないと考え,それでも本人がそうするなら仕方がないと考えています。その経緯がプロローグで語られます。まず,本作のヒーローはブラックストーン伯ドミニクですが,目の下から頬にかけての傷跡が戦争の傷跡を物語る顔でありながら,その傷さえなければ堂々とした風貌に恵まれた美貌の男性です。ギャンブルに才能を発揮し,ロンドンの賭博クラブ「ニック」の経営者ニコラス・ブラウンとの賭に勝ち,「ニック」を手に入れます。ニコラス・ブラウンは複数の賭博クラブを経営し,ロンドンの裏事情に詳しい,いわゆる犯罪者の親玉のような男です。「ニック」の経営状態は良く,支配人のアンドルー・バトラー(ドルー)やボディガードでドアマンのベン・ジャクソンといった「ニック」をこれまで実質的に運営してきた使用人のおかげで客入りが良いのですが,ドミニクが店に行ってみるとドアマンのベンが持ち場についていません。さらに客の目が全てステージに向けられているではありませんか。そしてステージに登場したのは美しい歌姫。この歌姫こそヒロイン,カロラインの仮の姿。つまり結婚を無理強いされることを避けるためにショアレイ・パークを家出してきたカロライン改めカロ・モートンだったのです。ドミニクはこれに腹を立てます。ギャンブルを愉しむために集まった客たちに,違う期待を抱かせる店に成り下がってしまうと考えたのでした。すぐにもこの歌姫をクビにしようとステージが終わったところで控え室に行きますが。これが二人の運命の出会いとなったのでした。治安の良くない住まいに住んでいることを突き止め,自分の屋敷に連れてきたドミニクですが,カロの魅力にすっかり惹かれてしまいます。カロもまた外見とは違って公正で男らしく優しさも兼ね備えているドミニクの本性を一目で見抜き,その誘惑にすっかり心を惹かれていくのでした。しかし表面的にはカロは歌姫に身をやつしていますが本来は伯爵令嬢。傲慢に自分に命令しようとするドミニクの言葉を逆手にとっては言うことを聞きません。これまで出会った女性たちは皆自分に言い寄るか怖がるかのどちらかでしたが,カロのように正面切ってものをいう女性は初めてでした。二人の舌戦がとても見事に描かれており,これは3姉妹に共通した特質でもあるようです。美貌だけでなく,頭の回転が速く,しかも他人や動物に対する深い愛情をもっていることが次第にドミニクにも分かってきます。しかし,何か秘密を抱えているカロに対して愛情を抱いてもそれは欲望に過ぎないと言い訳し続けるドミニク。二人の気持ちのすれ違いが本作の最大の魅力といっても良いでしょう。そしていつ二人が互いの愛情を素直に出し合えるようになるのか,カロの正体がいつどんな場面で分かってしまうのか,読者を最後まで引っ張ります。そして事件が起きます。ドミニクが賭に勝った相手ニコラス・ブラウンの悪行により窮地に陥るカロ。そして彼女を助けるために白馬の騎士となるドミニク。事件の解決が二人の急接近に最大の出来事になるのです。
 本作の結末は自然に次作の幕開けにもなります。単独作品としてみればかなり唐突に終わる感じですが,もう次作が始まっているようです。そして次作のヒロインは長女ダイアナです。


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