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シンデレラの円舞曲(ワルツ) [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO842
シンデレラの円舞曲(ワルツ) The Illegitimate Prince's Baby
(愛の国モーガンアイル 2) 2008」
ミシェル・セルマー 山口絵夢





「愛の国モーガンアイル」シリーズの第2作です。モーガンアイルの国王フィリップの異母弟で事業家のイーサン王子がヒーローです。第1作でもたびたび登場した王妃ハンナの世話係で宮殿で仕事をしているエリザベス(リジー)・プライスがヒロインです。国王夫妻の結婚後王妃の妊娠,そして臨月を迎える頃,リジーはスタッフとしてではなく会員としてダンスパーティに忍び込んでいます。そこで,イーサンと間近で話をすることになってしまいます。常に自分は王族の影の存在として出来るだけ目立たない服装で過ごしているリジーが,着飾ってパーティに参加したことで,たびたび宮殿を訪れていたイーサンも初めはリジーだとはわからずに,一夜の関係を持てればいいと考えてリジーに声を掛けます。すげなくそれを断るリジーですが,元夫ロジャーが訪れてきたことをきっかけにイーサンをアパートに入れてしまうことになります。少しずつ,しかし確実に二人の関係は深まっていき,リジーは叶わぬ関係であることを知りながらも,自分にちょっとずつ言い訳しながらもイーサンとの関係を深めていきたい欲求を抑えることが出来ませんでした。やがてフィリップに二人の関係を知られることになってしまい,イーサンはとっさにリジーと婚約していると偽りの言葉を発してしまうのでした。リジーの親友マディーは宮殿の厨房で働いているにもかかわらず先王にハラスメントを受けたことから王家一族の人々は信じられないと思っています。そのため,リジーはイーサンとの関係をマディーに相談することも出来ず,ずるずると関係を続けたことで偽の婚約という事態にまで発展してしまうのでした。いわゆる巻き込まれ型のロマンスの要素が前面に出ているのですが,家族を,愛を信じられないイーサン,元夫との結婚生活破綻から自分の女性らしい魅力を極力抑えようとしてきたリジーとが,偽りの夫婦をやっていけるのか。やがて,王妃の出産の場面に巻き込まれたリジーとイーサン,そしてリジーもまた妊娠疑惑?と次々に起こる出来事の中で,二人は本当の愛を見つけることが出来るのでしょうか。一般人と王子とのロマンス,シンデレラ物語ではありますが,地位や財産などとは関係なく本物の愛を求めるリジーが,離婚経験を持ちながらも王家の人々から愛され,イーサンの相手として認められていくまでのハッピーな物語です。


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プリンセス・レッスン [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO841
プリンセス・レッスン The King's Convenient Bride
(愛の国モーガンアイル 1) 2008」
ミシェル・セルマー 竹内 喜





「愛の国モーガンアイル」シリーズの第1作です。モーガンアイルの国王フィリップと婚約者ハンナのロマンス。フィリップには妹のソフィー,そして異母弟のイーサンがいますが,二人も時折登場し,特にソフィーは本作でも重要な役割を果たしています。ディザイアの整理をしていて本シリーズが未読だったことに気づき,手にしてみました。
国王夫妻だった両親の元で育てられ,愛のない家庭生活を送り孤独なまま成長したフィリップは,どのようにして人を愛したらいいかわからないでいます。一方16歳で始めてフィリップに会い,その妻となることを8年間もかけて準備してきたハンナ・ルノーは,もともと父親がモーガンアイルの出身で王家ミード家とも遠い親戚に当たることから,先王もハンナを皇太子妃とすることを進めていたのでした。しかし国王が亡くなりすでにフィリップが王位を継いでいるので,皇太子ではなく王妃としての結婚ということになるのでした。一人っ子で一人娘,そんな境遇で父からは絶大な信頼と愛を受けていたハンナのちょっとした悩みは父が1年前に亡くなったばかりなのに,母親はもう違う人と結婚しようとしていることでした。これほど純真で芯が強くしかも美貌に恵まれた娘を持ったハンナの父は,おそらく目の中に入れても痛くないという思いでハンナを育てたことでしょう。結婚式までの2週間,ハンナは王室になれるための勉強と,結婚式の準備に忙しい時間を過ごしますが,国王フィリップとも少しずつ近づこうとします。しかし初夜までは純潔を守ろうと固く決心をしてはいるのですが,フィリップの男性としての魅力に時に負けてしまいそうになります。フィリップも初めはハンナとの関係を式の前に確かめておきたいという気持ちを持っていましたが,きっぱりとしたハンナの決意を尊重しようとする気持ちがわいてくるのでした。確かにハンナはこれまでフィリップが付き合った女性とは異なり,フィリップの地位や財産目当てではなくフィリップ自身に惹かれ,大切にしょうとしていることが伝わってきたのでした。しかし王妃になるために嫁ぐということに対する漠然とした不安やこれでいいのかという気持ちが結婚式前日のハンナを襲います。その気持ちを察したかのようにハンナの部屋のドアをノックしたフィリップが声を掛けてくれたおかげで,ハンナの迷いはすっかり解けたのでした。式後の2週間の地中海クルーズでしっかり打ち解けたと思われた二人ですが,宮殿に戻ったとたんフィリップの態度が元の冷たいものに戻ってしまいます。国王としての務めがあることはハンナもよく理解し,フィリップの気持ちに近づこうとしているのですが,パーティで自分に声をかけてきたフィリップの元恋人の言葉に,ハンナの気持ちは大きく揺れます。しかも体調不良から妊娠検査キットで試したのに陰性だとわかったとき,ハンナはこの結婚に未来はないことを知らされるのでした。この時,二人の関係の修復にソフィーが絶大な力を発揮します。フィリップはハンナに対する自分の気持ちに素直になれるのでしょうか。シリーズ第1作としては,単品としてのストーリー展開にも充実感があり,秀作と言っていい作品だと思います。そしてなにより,ハンナ・ルノーの女性としてのすばらしさに拍手です。


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愛を願いし王女 [ミシェル・セルマー]

SHALOCKMEMO560
愛を願いし王女 Royal Seducer
(愛の国モーガンアイル 5) 2009」
ミシェル・セルマー Michelle Celmer 北園えりか





ロイヤルファミリーもの「愛の国モーガンアイル」の関連作。
カリブ海の島国モーガンアイルとトーマスアイルはもともとは兄弟国。しかし,二人の息子をかわいがった王女が平等に領地を分けたことから,ふたつの国は互いに敵対しあうようになってしまいます。我が国ではこういうのを「たわけ」と称して,愚か者の代名詞として使われています。
時は現代,モーガンアイルの国王の隠し子メリッサ王女は,王女と呼ばれはするものの,王宮ではいつも孤独を感じていました。そのため,敵対する隣国トーマスアイルを訪れることには,何のわだかまりもありませんでした。一方トーマスアイルの王子クリスたち兄弟姉妹には大きな秘密があったのです。それをメリッサに気付かれないように,苦心惨澹をするのですが…。
たぐいまれな美貌と深い孤独,そして強さを持つメリッサは,クリス王子にとっては理想の花嫁。たとえそれが政略結婚であっても・・・。そんな二人に愛情は芽生えるのでしょうか。一方的なメリッサの片思いで終わるのでしょうか。いくつかの宮廷独特の駆け引きや事件が起こる中,二人が素直に愛を告白できる時は来るのでしょうか。そんな読者の興味を引きつつも,著者はとても自然な終結を準備しています。


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